Afro Blue (Mongo Santamaria)
(34分39秒)
【この曲、この演奏】
コルトレーン・ファンにとっては1963年10月8日のバードランドのライブでの快演でお馴染みのこの曲は、コルトレーンのライブでの定番曲でした。そしてこのシアトルでも演奏されたのです。なおこの曲の作者ですが、ここでもモンゴ・サンタマリアとしておきます。
さて演奏ですが、コルトレーンがソプラノ・サックスでテーマを演奏していきます。ここでの短い演奏だけに登場するテーマであり、ソプラノ・サックスです。すぐにテナー・サックスによるソロに移ります。テナーが二本登場するのは確認できますが、どちらかコルトレーンなのかファラオなのかの聴き分けは、私には難しいものでした。
演奏が始まり8分55秒のところからマッコイのピアノ・ソロとなり、9分半近く続きます。迫真の演奏を感じる場面もありますが、指はよく動いているが集中力が弱くなっている場面もあります。
そしてベース奏者二人による演奏となり、これは13分以上続きます。左のスピカーからギャリソン、右からはギャレットの(と私は感じる)演奏であり、聴き入るものです。
そしてコルトレーンの登場しソロを、そこにファラオが加わり、そろそろまとめに移るのかと思いきや、演奏は混沌の中に入っていきます。そしてフェイド・アウトとなります。
最後にこの演奏に関する資料07の情報ですが、興味深いことが二つあります。先ずはサックス奏者でコルトレーン研究家の Alain Venditti の指摘として、演奏開始後3分10秒ほどからアルト・サックスのソロが入っているとのことです。 それは Joe Brazil か Carlos Ward としていますが、私には聴き分けできませんでした。
二つ目としてこの「Afro Blue」の演奏は、更に17分以上あるとのことです。何らかの事情により、CD収録分とこの17分の間に録音に空白があるとのことです。50分超えの演奏としてCD化することができたはずですが、さすがにCD3枚組は避けようとなっての、1994年の発売だったのでしょう。
この曲も1994年の発売で世に出ましたが、中途半端なものです。そしてこの日には資料07によれば「ラッシュ・ライフ」や「マイ・フェイヴァリット・シングス」も演奏されています。そしてライブでの冒頭で演奏された「Untitled Original」も正式発売はなく、ファンからはその発売が望まれていました。
2011年になり、エアチェックと思われるものがCD化され、上述の演奏がブートレグとして発売されました。
【エピソード、この時期のコルトレーン】
「彼は堅苦しい人間だったが、偉大な芸術家だった」。D.H.ロレンスは「アメリカ古典文学研究」のなかでメルヴィルのことを、このように書いている。
ロレンスのこの言葉は、一九六五年末のコルトレーンにそのまま当てはまる。コルトレーンはいぜんとして上着とネクタイを着用してライブに出演し、礼儀正しく気配りを見せながらインタビューに応じ、古いジャズの現実(ジョニー・ホッジス)と新しいジャズの現実(アルバート・アイラー)の二つにまたがっている自らの音楽について説明することを慇懃に断っていた。体重が増え、口数が少なくなり、仲間のミュージシャンと電話では話すが深い友情を結ぶまでには至らなかった。ジャガーを購入し、ロングアイランドにアリスと二人の子供と住み、中流階級の家庭生活を営んでいた。(資料03より)
【ついでにフォト】
2007年 アムステルダム
(2021年8月26日掲載)