Body And Soul (21分17秒)
(Johnny Green, Robert Sour, Edward Heyman & Frank Eyton)
【この曲、この演奏】
この有名スタンダード曲をコルトレーンは、アトランティック時代の1960年10月24日にスタジオ録音し、それがアルバム「Coltrane's Sound」に収録されました。その発売は1964年6月のことですので、このシアトルの会場で演奏の1年3ヶ月前となります。その意味ではコルトレーン・ファンには、コルトレーンの演奏でお馴染みとなったこの曲が、目の前で演奏されたことになります。
演奏内容については次項のベン・ラトリフ氏の文章を参照して下さい。
コルトレーンの5分半のテーマは、新しいグループでのバラッドへの向き合い方を見出したかの演奏です。続くのはマッコイの6分半ですが、この新しいグループでの自分の姿を追い求めている演奏です。そしてファラオとマッコイの6分半となり、徐々に勇気を振り絞っていくファラオをマッコイが暖かく見守ると言った内容です。
そしてコルトレーンを軸にしてエンディングへ向かっていきます。
この演奏は1994年になって、世に出ました。
【エピソード、この演奏について資料03より】
この〈ボディ・アンド・ソウル〉は肉体(ボディ)よりも精神(ソウル)に重きを置いた演奏である。ここでは部分的に「コルトレーン・サウンド」所収の同曲のアレンジが使われており、サビのパートには〈ジャイアント・ステップス〉チェンジが用いられている。だがテンポはよりスローで、古風なサウンドになっており、まるでコルトレーンが研究したスピリチュアル・ナンバーの一曲を演奏しているのではないかと思わせる。コルトレーンの演奏は、あたかも曲を溶かして液体にするかのようだ。タイナーのソロのあいだ、ドナルド・ラファエル・ギャレットはベースを弓で弾いてロング・トーンを奏でる。タイナーはヘ音記号のトニックを執拗に弾き、高音による分厚いドローンを生み出している。
四分の四拍子のバラードにおけるエルヴィンのスウィング感富んだドラミングは、彼がグループに加わって以来、さらに進化したことを明らかにしている。テンポは安定して正気に満ちており、スネアの叩き方は控えめで正確だ。各小説の最初のビートの箇所には、タイナーが左手で強く引く五度の音が入る。ヴァンプが三十秒間ほど演奏されたあと、コルトレーンがテーマを吹き始める。最初の八小節では大胆にインプロヴァイズする。サビでも原メロディはほとんど吹かないが、調整は保っている。最後の八小節から演奏は熱気がこもったものになる。セカンド・コーラスに入って彼はエンジンを全開させ、低音域を使った短いフレーズ、唸り声のようなスケールを炸裂させる。サビから最後の八小節にかけて、彼は震えるような音を使い、ますます濃厚なプレイを繰り広げる。
続く三コーラスはタイナーのソロだ。タイナーはコードに沿ったモーダルなアプローチにより、ペダルを使ってサステイン音を響かせながらインプロヴィゼーションを展開する。次のファラオ・サンダースは、この重厚なプレイのあとを受け継ぐという厳しい立場に立たされた。サビでコード進行を無視して演奏する彼は、音が弱くなり、しだいにオフ・マイクになる。なかなか本調子に乗せることができないが、最後になってようやく低音による逞しい咆哮を放ち、彼本来のサウンドを披露する。最後にドラムスが抜け、グループが集団でひときわ派手にブローして演奏が終わる。
【ついでにフォト】
2007年 アムステルダム
(2021年8月25日掲載)