Cosmos (John Coltrane) (10分49秒)
【この曲、この演奏】
この曲の演奏記録はこのライヴ・セッションだけ(資料07)ですが、恐らくはこの時期のライヴで何度か演奏されていたかもしれません。
さて演奏ですが、混沌の情景が最初から最後まで続きます。最初と最後はコルトレーンのテナーが主となっての演奏ですが、エルヴィンがリズムを取り始めてからはファラオのテナー、そしてギャレットのバスクラも効果的になり、三人が互いに反応し合う展開となっています。混沌の中から魂を外に出そうとの試みなのかと感じました。
演奏時間は10分ほどですが、資料09には「この時期のライブとしては奇跡的とも言えるほどコンパクトにまとまった演奏だ」とあります。10分がコンパクトな演奏と感じさせる、新体制の始まりでした。
【エピソード、本セッション、参加メンバーについてなど】
この9月に入りコルトレーンは、ライヴにおいて従来にカルテットにメンバーを加え始めた。資料07によれば、9月14日から26日までコルトレーンはサン・フランシスコにあるジャズ・ワークショップに出演した。その際のグループのメンバーは、従来のカルテットに加えて、ファラオ・サンダースとドナルド・ギャレットが参加している。また日曜日の昼興行でエルヴィンの替わりに Terry Clarke がドラマーとして参加していた。
このサン・フランシスコのライブが終わると休みを挟まずにコルトレーン・グループは、シアトルに移動し、9月27日から10月2日までペントハウスでのライブを行った。そのメンバーは基本としてサン・フランシスコと同様であり、その中の木曜日の9月30日の演奏が1971年に発売された。
さて資料07では、コルトレーン研究家の Alain Venditti は、一部の曲でのアルト・サックス奏者が参加しており、それはJoe Brazil 或いは Carlos Ward であると指摘しているとのことである。
【ついでにフォト】
2007年 アムステルダム
(2021年8月21日掲載)