Ascent (John Coltrane) (合計 28分56秒)
【この曲、この演奏】
ではこの曲の録音過程をみていきます。
-15 take 1(11分33秒)
このテイクが母体となってマスター・テイクが作られました。マスターとの明らかな違いは、前半と後半を占めるベース・ソロです。前半のは1分半ほど演奏時間が長く、またその内容もギャリソン自身に気宇走のまとまりがないのかなと感じる部分があります。また後半の部分は時間的にはマスターと同様のものですが、その内容にはマスターとの違いを感じるものです。
-16 take 2(計4分48秒)
ここではインサートとはしていないので、録り直しを考えたのでしょうけれど、私にはベース部のインサート用と感じました。3分sぎていからベースの独奏がバラつき始め中断となり、スタジオ内の会話が記録されています。
-17 take 3(計3分45秒)
ベース独奏の後にカルテットでの演奏に入り、すぐに中断となっていなす。ベース独奏の箇所は、マイクポジションのチェックかなとも感じました。このテイクの中に、フォルス・スタートやスタジオ内の会話も含まれています。
-18 take 4-6(計1分39秒)
カルテットでの演奏の3つのテイクですが、どれもすぐに中断となっています。
-19 take 7(計4分1秒)
インサート4との技師の指示声が冒頭にあり、コルトレーンのテナーを中心としたカルテットでの演奏の終盤部からの演奏となっています。2分20秒を過ぎたあたりからベース独走となり、それが1分30秒続きました。
-20 take 8(3分50秒)
前テイクと同様の録音であり、3分弱の四人での演奏ののちに、ここではシンバル入りでベース・ソロが始まり、ベース独奏に移っていきます。
さてどのようにマスター・テイクを作っていったかですが、ギャリソンのベース・ソロの部分は、かなり大胆に繋ぎ合わせしているのかなと、私は感じました。
【エピソード、「至上の愛」を聴いた若者たちの声】
続いても、パリに住む熱心なジャズ・ファンの若者の声である。
バーナード(前回の若者)はぼくに、「至上の愛」を初め、何枚かのコルトレーンのアルバムを聴かせてくれた。だが、ぼくとしては、神秘的な感じのする「オーム」が一番好きだ。ぼくはアマチュアの画家だが、いつも絵をかくときは、彼の音楽を聴いて創作の意欲をかき立てるようにしている。ぼくの絵は抽象画だが、コルトレーンの音楽はブルーとオレンジ色を感じさせる。いつか自分なりの意欲作を完成してそれをコルトレーンに贈るとしたら、その題名を「マイ・フェイヴァリット・シングス」とつけたいと思う。 ギルバード・クビス
(資料01より)
【ついでにフォト】
2013年 みなとみらい
(2021年8月12日掲載)