Suite: A Love Supreme
(John Coltrane) (計47分40秒)
【この曲、この演奏】
コルトレーンの代表作の一つである「至上の愛」は、1964年12月に録音され、1965年1月に発売されました。そのライブ演奏記録は二つあり、二つとも聴くことができます。最初のものがこの1965年7月26日のアンティーブ・ジャズ・フェスティヴァルでの演奏であり、二つ目は同年10月2日のシアトルでのライブによるものです。
ここでは1987年にエソルダンから発売されたCDをもとに、コメントします。
前年12月に「至上の愛」を録音した黄金カルテットでの演奏ですので、しっかりとオリジナルをライブで再現しています。当然ですが多重録音の再現は出来ないわけですので、ライブならではの醍醐味がある演奏となっています。また放送局の音源を使っていると思われ、録音状態が非常に良いのも嬉しいところです。エルヴィンとギャリソンの聴き所があり楽しめるものなので、マッコイにもそれがあったならと、贅沢な思いになります。
1964年にアルバム「至上の愛」を制作した時が黄金カルテットとしての頂点、そしてこのアンティーブでのライブ演奏を行ったときは黄金カルテットが終わろうとするところ、興味深いものが詰まった演奏です。
【エピソード、1965年の欧州での演奏】
コルトレーンは1961年から1963年までの3年間、秋に大規模な欧州ツアーを行っていた。1964年は欧州遠征はなく、1965年に一週間の演奏旅行を行った。7月26日から8月1日までものであった。
7月26日と27日には、フランス南部の地中海に面したアンティーブで行われた、6回目のジャズ・フェスティヴァルへの出演のためであった。そして28日にはパリでコンサートを行った。
そして29日にはオルガン奏者のエディ・ルイスのレコーディングに参加したが、この演奏は実は票のままだ。
最後の演奏活動である8月1日にはベルギーでの Comblain-la-Tour Jazz Festival に参加した。この日の演奏はテレビ収録されており、また発売もされた。また1992年にブートレグでCD発売されたが、残念ながら私はそれを持っていない。
さて7月26日のアンティーブ・ジャズ・フェスティヴァルであるが、コルトレーンは「至上の愛」を通しで演奏した。その模様は TV by ORTF で放送され、その映像が市場に出回ったことがある。
1970年代にインゴよりLPレコードで発売された。そして1987年にエソルダンよりCD発売された。これ以降にはいくつかのブートレグが発売されたが、2015年にはインパルス!より正式発売された。
【ついでにフォト】
2015年 みなとみらい、横浜
(2022年12月19日掲載)