One Down, One Up (John Coltrane)
(アナウンス 1分8秒、演奏 12分42秒)
【この曲、この演奏】
コルトレーンが何度か取り上げているこの曲を、二年ぶりのニューポートでの最初に演奏しました。
まずはジャズでの活動でも知られているらしいノーマン・オコナーの、バンド紹介があります。「世界のジャズの新星、エルヴィン・ジョーンズ!」とありますので、この手の紹介の典型のものだったのでしょう。
そして演奏が始まります。この曲はアップテンポでの短いリフがテーマなのですが、これを1分弱でコルトレーンがテナーで決めています。続くのはマッコイのソロなのですが、これが何と6分強続きます。そしてピアノの録音レベルが低く、何とも寂しいものです。エルヴィンのドラムは抑え気味に始まりますが、終盤にはいらつきを感じさせる強いアタックになっていきます。
そしてようやくコルトレーンの出番となり、テーマを交えながら高速でのスリルを感じさせる演奏を繰り広げます。ただそこには、アセンションの「何か」を振り払うようなものが漂う感じがしました。このコルトレーンが続いて、クロージングとなります。
この演奏は、A(S)-94「New Things at Newport」に収録され、1966年に発売されました。
【エピソード、このセッション】
コルトレーンが自分のバンドでニューポートで演奏したのは4回あるが、黄金カルテットで演奏したのは本セッションだけである。1961年はギャリソンが加わる前、1963年はエルヴィンが麻薬のためロイ・ヘインズが代役、そして1966年は新しいバンドとなっている。
30分の持ち時間の中で「One Down, One Up」と、「My Favorite Things」を演奏している。「My Favorite Things」は4回のニューポートの全てで演奏されており、ジャズ祭では人気曲が求められたのであろう。
「One Down, One Up」は1966年に世に出たが、「My Favorite Things」が世に出たのは1978年になってからである。
【ついでにフォト】
2010年 ペナン、マレーシア、タイプーサム
(2021年7月24日掲載)