Resolution (John Coltrane)
【この曲、この演奏】
「至上の愛」のPart 2 は、「Resolution、決意」とのタイトルであります。日本語のタイトルは「誓い」でも良いのかなと、私は感じます。
この演奏は1回の演奏だけと長らくされてきましたが、2002年発売のVerve/Impulse! 314 589 945-2 (A Love Supreme, Deluxe Edition, 2002)で、他の2つのテイクが世に出ました。そして2008年刊行の資料07では、計7つのテイクがあることが明らかになりましたが、他の5つの音源は今に至るまで世に出ていません。
ここでは別テイク2つの内容について簡単に触れます。
-05 Resolution (take 4) (7分24秒)
この4回目のテイクで既に本テイクとなるテイク7での演奏が、それなりの完成度となって演奏されています。しかしながら、メインとなる叩き込めるようなコルトレーンの演奏と、「マッコイのモーダルでリズミカルなソロ」(資料09)に、少なからずの戸惑いが感じられます。
-07 Resolution (take 6) (2分13秒)
収録されている演奏は、ベースだけでの導入部、コルトレーンのテナーによるテーマ、そしてマッコイのソロに入ってからすぐにフェイドアウトになっています。
最初のベースによる導入部がその後の展開に悪い影響を与えたのかと、私は感じています。
【エピソード、至上の愛の構想、コルトレーンの瞑想 その1】
それは神の時間といわれる午前四時、夜がいましも明けようとするときだった。一九六四年の秋のある夜明けに、コルトレーンは書斎のカーペットを敷いた床の上に座っていた。絹のバス・ロープを身にまとい、頭を深く垂れ、手と足を組み、瞑想に入っていた。
静寂が部屋を支配していた。聞こえるにはただ、自分の呼吸音だけで、感じられるのは筋肉が硬直していることだけだ。彼は一切の思考を停止し、ひたすら精神を統一して宇宙から伝えられるメッセージを待っていた。
できれば神との対話を希望していた。たとえそれがむりでも、少なくとも自分が正しい道を歩んでいるかどうかを神からのメッセージによって確かめたいと思っていた。彼は真剣に神に対する祈りを捧げ、自分が正しい生き方をしているのかを、そして今後の自分の進むべき道を明らかに示してほしいと願ったのだ。(資料01)
【ついでにフォト】
2004年 香港
(2021年6月11日掲載)