Acknowledgement (John Coltrane)
(7分47秒)
【この曲、この演奏】
名盤「至上の愛」のA面1曲目のこの曲は、日本語名は「承認」です。私は今まで日本でつけた名前を深く考えてきませんでしたが、字引にある「Acknowledgement」の他の意味としてある「感謝のしるし」では如何かなとも思います。
資料07や2002年発売や2015年発売の「至上の愛、二度の発掘盤」によれば、他の三曲は数回の演奏を行っていますが、この曲に関しては一回の録音となっています。
しかし正確に言えば、終盤で曲名を19回ささやくコルトレーンの声については、他に二つのテイクが残されています。このささやきは翌日の12月10日にオーヴァーダブされたのですが、2015年発売の発掘盤に他の2回のささやきが収録されています。
その演奏ですが、コルトレーンの音楽性と精神性、そして黄金カルテットの頂点の演奏として、ただただ聴き入るものです。(何度も何十年も聴いてきたのに演奏を言葉にできず)
さてささやきですが、やはり本テイクのものが、神への感謝の気持ちが素直に表されているように感じました。他に2回は、この1回目に少し変化をつけようと思ったかの、ささやきでした。ちなみに二度目は20回、三度目は最初と同様に19回のささやきでした。
【エピソード、本セッション】
コルトレーンの恒例行事となった秋の欧州楽旅は、この1964年には行われなかった。6月のスタジオ収録以降のコルトレーンの演奏活動を資料07でみても、この12月までほぼ空白なのである。9月18日にフィラデルフィアで黄金カルテットが演奏したらしいのだが、詳細な情報は。そして演奏されたのは「Resolution、決意」とのことだ。このことから、この半年間はこの「至上の愛」のレコーディングのために費やしてきた、とのよく聞く話も本当なのかもしれない。
この12月9日に、この一日でこの名盤は録音されたのだが、翌日に二つのオーヴァーダブを行っている。一つは「Acknowledgement、承認」でのコルトレーンのささやき、そして二つ目は「Psalm、賛美」での最後の30秒にマッコイを除く三人で行った演奏である。(資料07)
この作品は翌月に、A(S)-77として発売された。それから数十年経った2002年と2015年に、この日のセッションでの別テイクとかが発売された。
Verve/Impulse! 314 589 945-2 (A Love Supreme, Deluxe Edition, 2002)
Verve/Impulse! 0602547489470 (A Love Supreme, The Complete Masters, 2015)
【ついでにフォト】
2004年 香港
(2021年5月31日掲載)