19640624-05

Village Blues (Take 3)
(John Coltrane)         
(3分46秒)



【この曲、この演奏】

 このセッションのこの曲の三度目の録音です。最初と二番目に欠点は見当たらず、どうして三回目の録音に臨んだのか、不思議な点です。この曲が映画の重要な意味合いと考えたのでしょうか。

 この疲れ切った心境のようなブルース、そして揺らぐ演奏、こう聴いてみると「Le chat dans le sac」だけではなく、いろんな映画に合う音楽だなと感じました。

 各資料を見てもコルトレーンが映画好きであったとの記述は見当たりませんが、ジル監督から聞いた映画のシーンを想像しながらの演奏だったのでしょう。



【エピソード、主演女優 バーバラ・ウーリッヒ その2】

 引き続きCD「ブルー・ワールド」の解説にある、主演女優 バーバラ・ウーリッヒのインタヴューを引用する。


 ジル(映画の監督)は映画に使いたい音楽のリストを持参していました。後から聞いた話では、そのリストを渡されたコルトレーンは、「OK これはできるよ」「それはできないな、私の音楽ではないから。了解! 君が私に何をして欲しいのか、よくわかった」と、そんなふうに答えたそうです。そして、カルテットで軽く音合わせした後、数時間にわたってレコーディングしました。セッションが終わるとルディ(・ヴァン・ゲルダー)がジルにテープを手渡し、一件落着でした。帰宅した彼は、すっかり有頂天になっていました。出来上がった演奏を映画のどこに使用するのかも、しっかり把握していました。私が「どうだった?」と訊くと、彼はただ微笑んで、テープを見せてくれました。そして、彼はテープを映画制作庁に持っていきました。それ以降、私がオリジナル・テープを目にすることはありませんでした。



【ついでにフォト】

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2015年 みなとみらい

(2021年5月27日掲載)