Village Blues (Take 2)
(John Coltrane) (3分37秒)
【この曲、この演奏】
この曲は1960年10月21日にアトランティックでレコーディングされ、1961年にAtl 1353「Coltrane Jazz」とのアルバムで、世に出ていました。その際のメンバーは、McCoy Tyner(p), Steve Davis(b), Elvin Jones(d)でした。
この1964年6月24日のセッションでは、黄金カルテットでの演奏となり、3つのテイクが録音されました。
さて演奏ですが、このブルースが持つ気怠い雰囲気が、ストレートに出ている内容です。コルトレーンのテナーでの寂しさは、素晴らしいものです。
【エピソード、映画 Le chat dans le sac(袋の中の猫)を見て】
国内盤CD封入解説には、この映画について次の紹介がある。
カナダ人の映像作家、ジル・グルーを一躍有名にしたフランス語映画「Le chat dans le sac」は、1964年のモントリオールを舞台に、若い恋人たちの揺れ動く関係を描いた作品だ。
今ではこの映画をYouTubeで、1時間14分の全てを見ることができる。そこにあるコメントには、およそ次のようなことが書かれている。
この映画は、二十歳の青年とその仲間などとの交流を通じて、世の中の運命を描いている。ケベックの若者の政治への関わりについて、問題提起した作品である。
私は1時間14分全てを観た。フランス語であり、英語の字幕すらない中での、しかも登場人物の会話や一人語りが中心の映画なので、観通すのには辛いものが少なからずあった。それでも一生懸命観たが、分からないなりの印象としては、次のようなものだ。
社会へ出る時期が迫った若者が、揺れ動く世界に直面しながら付け焼刃の知識で意見を交わし、その中で現実を見つめながら成長していき、恋仲だった二人がそれぞれの道を歩むことを決心していく姿を、モノクロで描いた作品。
前半は恋人同士の会話、そして仲間たちとの会話、そこに新聞と街の光景が重なっていくものだ。スケートリンクでのマーチングのリハーサルの場面での音楽が鍵となり、後半へ突入していく。都心から田舎町へ場面が移っていき、社会へ出る意味を恋人同士が実感していく映像となっている。
最後にコルトレーンの音楽の挿入について、触れておく。2分ほどのシーンで「ネイマ」、7分ほどで「ヴィレッジ・ブルース」、18分ほどで再び「ネイマ」、32分ほどで再び「ヴィレッジ・ブルース」、そして42分ほどの場面でこのCDでは「ブルー・ワールド」としている曲が流れている。それが後半になると挿入されるのは、ヴィヴァルディになっていく。
【ついでにフォト】
2015年 みなとみらい
(2021年5月24日掲載)