Your Lady (John Coltrane) (6分38秒)
【この曲、この演奏】
このコルトレーン作の曲の演奏記録ですが、資料07によれば本セッションだけです。
コルトレーンは宗教や宇宙の本を読み漁ったのですが、そこから得たものが自分の考えとして実ってきたものが、この曲にあるように感じました。速めのテンポでのこの曲は、コルトレーンのアドリブの中にあったフレーズと感じられますが、それは心に広がる宇宙を感じさせるものです。
重厚なベースとドラムから始まり、コルトレーンのソプラノ・サックスがすぐに登場します。そこからの6分半の演奏で、コルトレーンの心の宇宙を感じるのは、私だけではないでしょう。
【エピソード、本セッション】
このセッションで録音された二曲は、どちらもA(S)-50「Live At Birdland」に収録されている。このアルバムの発売年月であるが、資料13には1964年とあり、月には触れていない。Wikipediaによれば、1964年1月に発売されたとある。その根拠として、ビルボード誌1964年2月号での記載をあげている。
1963年10月8日にバードランドでのライブをレコーディングした、しかも録音された6曲でLPレコード2枚分にもなる、こうなれば「純粋ライブ盤」として発売できたはずである。しかしながら10月8日からは3曲だけがアルバムに収録され、計27分では短すぎるのか、この11月18日のスタジオ録音から2曲を「Live At Birdland」に収録したのであった。
さて10月8日での3曲が何故にボツとなったかは、どの資料をみても記述がない。またこの3曲は今に至るまで未発表であるため、その演奏内容も分からない。
レコード会社は、月次定期発売に一定枚数を用意するものだ。そしてその中には、目玉が必要となる。この1964年1月にインパルス!はアート・ブレイキー、ミンガス、ユセフ・ラティーフ等の作品を発表しているが、この1964年からすれば目玉はコルトレーンであろう。
これからすれば、何らかの理由によりライブ収録でアルバムに収録できるのは3曲だけとなり、発売日を遅らせることも出来ず、急遽このレコーディングと考える。
一方で資料05では、コルトレーンがこの年の9月15日に起きたアラバマ事件に心を痛め、急遽この日のレコーディングとなった。そして直近に発売されるアルバム、A(S)-50「Live At Birdland」に追加することにしたとのことだ。
バードランドでのライブが10月8日であることから時間軸に疑問があるが、資料05にはそう書かれている。
【ついでにフォト】
2009年 みなとみらい
(2021年5月13日掲載)