19631022-04

Spiritual (John Coltrane)  (12分11秒)



【この曲、この演奏】

 1961年11月のヴィレッジ・ヴァンガード録音四日間、その全ての日に演奏されたコルトレーン作の曲です。この1961年のヴィレッジ・ヴァンガードの後に行われた欧州ツアーでは演奏されたことがあるらしいのですが、音源は確認されていません。また1962年の欧州ツアーでの、この曲の演奏記録はありません。1963年欧州ツアーでは初日であるこの10月22日に演奏されましたが、これ以降の演奏記録は残っていません。この曲でコルトレーンはテナーとソプラノ、両方のサックスで演奏しております。

 さて演奏ですが、ドラムスのドスンの後に、コルトレーンがテナー・サックスでテーマを厳かに演奏していきます。1分過ぎからアドリブへと移り、合わせて4分を超えるテナーでの演奏です。その後にマッコイが厳かな空気を引き継ぐピアノ・ソロを3分弱披露します。

 そしてその後にコルトレーンがソプラノ・サックスに持ち替えて、3分ほどの演奏を行っています。これはテナーでの演奏よりも、刺激のあるものを狙ったようです。そのままソプラノで後テーマを演奏していきます。

 記録がある限りでは1963年欧州ツアーで演奏されることがないこの曲ですが、この初日での出来栄えは素晴らしいものです。取り上げなかった理由は、ステージ構成を考えてのことなのでしょう。



【エピソード、1963年のミシェル・デロームのインタヴュー記事 その1】

デローム
 スタイルが昨年から進化していませんか?


コルトレーン
 いや、今年からだ。自作曲をフィーチャーしようと考えていてね。曲を書いているんだ。数ヶ月後には何かやる予定だ。今はそのつもりでいるが、とにかく、努力はしているよ。

(マハール注:コルトレーンは翌年に名作として名高いアルバム「クレッセント」と「至上の愛」を制作した)

「ジャズ・オット」誌、一九六三年一二月号(資料04より)



【ついでにフォト】

tp14011-176

2014年 みなとみらい、横浜 


(2022年11月14日掲載)