19631008-01

The Promise (John Coltrane) (8分8秒)



【この曲、この演奏】

 コルトレーン作のこの曲は、「アフロ・ブルーと同様のアフリカン・スピリットに溢れた曲」(資料09)であります。

 資料07を眺めますと、この曲の初登場は、この年の8月下旬に1週間出演したショウボートでのことでした。このライブはエルヴィン復帰の場面でもありました。その次の登場が本セッション、そしてそのすぐ後のショウボートでも演奏されています。さらにこの10月下旬の欧州公演でも、この曲が演奏されています。

 こうみますとこの曲は1963年後半のライブの重要曲なのですが、翌年からの演奏記録は資料07には見当たりません。そしてコルトレーン作の曲は、スタジオ録音されたこともありませんでした。

 さて演奏ですが、ソプラノ・サックスでコルトレーンが吹くテーマの後に登場するには、マッコイ・タイナーのピアノです。なんと4分間も演奏しており、トリオとしての練熟も加わり、想像力の鬼かと感じるマッコイがここにいます。そしてそれが徐々に昂っていき、凄まじい演奏となっています。その後のコルトレーンのソプラノでのソロは2分弱のものですが、マッコイの気迫に乗せられたコルトレーンといった感じです。

 私の想像ですが、マッコイのソロの最中に、コルトレーンが「もっと弾け」と合図を出したのではと思いました。この曲自体は、それまでのコルトレーンの長尺ソロで聴けたメロディを持ってきたようなものですが、コルトレーンはこれをライブでの仕掛け曲として使ったのかなと感じます。そしてその仕掛けにマッコイが大化けした、そんな風に感じました。



【エピソード、本セッション】

 ニューヨークの名門クラブであるバードランドでのコルトレーンの出演は、自身のバンドのみならずマイルスのバンドでも何度も出演し、またガレスピーのバンドでも出演していた。そしてそれらの演奏はブートレグで聴けるが、公式ライブ盤としては本セッションのものが最初となる。また5ヶ月間お休みしていたエルヴィンの演奏が聴けるその公式盤は、本セッションから三曲を収録しているA-50「Live At Birdland」である。(資料09)

 この日のライブでは六曲演奏されているが、A-50に収録されていない三曲「Traneing IN」「Mr. P.C.」「Lonnie's Lament」については、資料07の保管サイトによれば次の二つのブートレグCDで発売されたようだ。

All Blues Records ABR-020 (John Coltrane, Lostrane Birdland)

Cool Jazz Cool Jazz 398 (John Coltrane, Lost Birdland Tapes)

 発売時期は2000年代後半のようであるが、残念ながら私は入手出来ずにいる。



【ついでにフォト】

tp06001-089

2006年 香港

(2021年4月30日掲載、改訂 2023年10月11日)