Mr. P.C. (John Coltrane) (18分9秒)
【この曲、この演奏】
この時期のコルトレーンのライブ演奏定番曲のこの曲は、6月10日のショウボートでも演奏していました。
高速テナーサックスでの短いテーマこの演奏を聴いた瞬間に、すでにこの曲に慣れ親しんでいるフィラデルフィアの観客は、心が躍ったことでしょう。
演奏はすぐにマッコイの5分超えのピアノソロとなり、2分半過ぎからのギアを上げたマッコイの演奏は、調子を取り戻したような凄さがあります。
続くのはギャリソンのピッチカートによる荒々しいベースソロですが、36秒と短いものです。資料07によれば、大きくカットされての収録とのことです。
そしてエルヴィンのソロとなります。4分近いそれは、この黄金カルテットでのエルヴィンの存在の重さを感じるもので、ジャズの神様に近づいているエルヴィン、或いは本当に狂い始めたかのエルヴィンの演奏に圧倒されます。
その後にはコルトレーンの8分のソロとなり、演奏は終わっていきます。そしてこの8分間ですが、エルヴィンの演奏はソロを続けているようなものです。コルトレーンから主役の座を奪ったものであり、エルヴィンのソロが12分間続いて、演奏は終わっていったとも言えるでしょう。
私のような一般のコルトレーン好きがこの演奏に触れられることに、深く感謝です。
【エピソード、音源発売】
どの日なのかは特定されていないが、この8月19日から25日のこの演奏は、2006年にCD2枚組でブートレグ発売となった。
Rare Live Recordings RLP 88620 (John Coltrane Quartet / Live at the Showboat, Philadelphia, June 17, 1963, 2CD, released 2006)
このCD2枚組のサブ・タイトルには、6月17日の録音とある。裏面のクレジットには、ドラムスはロイ・ヘインズとなっている。発売当初から、このクレジットは間違いであることが指摘され、8月19日から25日の何処かでのショウボートでの録音だとの認識となった。誰もが簡単に気がついたクレジット間違いは、次の三点であろう。
1. 6月のショウボート出演は10日から15日
2. 6月と8月のセットリストは大きく異なっており、このCD2枚組は8月のセットリスト
3. ドラムスはロイ・ヘインズではなくエルヴィンによる演奏であろう
ただやはり「これは間違いだ」と明確に指摘できたのは、Alan Sukoenig氏の私家録音で確認できたことであろう。
【ついでにフォト】
2005年 香港
(2023年2月24日掲載)