I Want To Talk About You
(Billy Eckstine) (7分49秒)
【この曲、この演奏】
コルトレーンがライブで演奏する定番スタンダードが、ヘインズ入りカルテットでも取り上げました。
この曲の収録は、コルトレーンのテナー・サックスによるソロの途中からとなっています。何とも中途半端な収録開始ですが、収録始まりから2分が過ぎたところで、無伴奏でのテナー・サックス演奏となります。この日のこの曲もコルトレーンは心を入れて演奏できているなと感じながら、5分以上続くここでのカデンツを楽しんで、演奏は終わっていきます。
【エピソード、1963年5月 シカゴのマッキーズ出演について その4 最後】
ジョーンズの言葉
「私はソロイストのインプロヴィゼーションを追っていく」とジョーンズは言う。「で、それが終わったら、最後のフレーズを引き取って、自分のインプロヴィゼーションのとっかかりに使うんだ。基本となるのは曲のメロディ・パターンだが、これがまた簡単なようでいて、とても難しい。リズムやポリリズムを使ったパターンやフレーズは際限なく試すことができるからね」
「実際のところ、サックス奏者やトランペッターがソロでやるように、私も多くのドラム・ソロでフレーズを使ってきた。私はドラムに命を与えているんだ」。コルトレーンは、テンポの変わらないソロを嫌う。新たな展開が来たらスピードを変化させることは、彼にとってごく自然なことだ。ダブル・テンポやトリプル・テンポになることもある。残りのメンバー、つまり、ピアノのマッコイ・タイナー、ベースのジミー・ギャリソン、ドラムのエルヴィン・ジョーンズは、ぴったりと彼についていく。
一九五五年まで、コルトレーンは無名の存在だった。そんなとき、マイルス・デイヴィスのグループに入って名を揚げた。クインテットの一員となった彼がマイウルスと作った最初のアルバムの代表曲「ラウンド・ミッドナイト」。その中盤あたりでコルトレーンは暴走機関車と化して暴走した。アメリカ中のジャズ愛好家に「こいつは何者だ」と思わせた。コルトレーンが彼らに居住まいを正させ、その顔を振り向かせた瞬間だ。
「シカゴ・デイリー・ディフェンダー」紙、一九六三年五月十六日版、16ページに掲載(資料04より)
【ついでにフォト】
2005年 香港
(2023年2月19日掲載)