After The Rain (John Coltrane)(4分14秒)
【この曲、この演奏】
コルトレーン作の曲ですが、スタジオでの演奏は本セッションだけであり、ライブではこの年の6月にショウボートに主演した際に演奏しており、6月10日のライブではコルトレーンのピアノ独奏での私家録音があります。(資料07)そしてそれは2010年にブートレグCDで発売されました。
さて演奏ですが、自分を見つめ、自分の弱さと向き合い、そして自分の進むべき道を見出していく、そんな心の動きがこの演奏の中にあります。静かだけど力強いブルース、いやバラードと言うべきか、素晴らしい演奏が続いています。ここでのコルトレーンの姿は、これから数年後に大きく花開くものです。
この演奏はA(S)-42 「Inpressions」に収録され、この年の7月に世に出ました。
【エピソード、本セッションについて】
結果的には、このスタジオ・セッションからアルバム「インプレッションズ」に1曲が収録されており、それに向けてのセッションにも思えるが、この時期の他のセッションと比べたら目的が明確とは感じられないセッションである。これはこの年の3月6日のセッションでも同様であった。
さてこのセッションでは「All The Things You Are」が演奏されている。コルトレーンは、1957年4月6日にブルー・ノートのジョニー・グリフィンのレコーディングに客演し、この曲を演奏している。また1953年1月にジョニー・ホッジスのバンドのライブでこの曲をコルトレーンは演奏しているが、録音は残っていない。(資料07)
従って本セッションでの「All The Things You Are」の演奏は、コルトレーンのリーダー・セッションとして、またワンホーンでのセッションとしても唯一のものである。資料07によれば8回演奏し、5回も最後まで演奏しているようだ。しかしながら今に至るまで未発表のままである。
なおロイ・ヘインズが代役で参加している件は、別項で触れる。
【ついでにフォト】
2008年 みなとみらい
(2021年4月25日掲載、改訂2022年11月12日)