19630306-11

Impressions (take4) (John Coltrane)
                                   (3分34秒)



【この曲、この演奏】

 このセッションでのこの曲の演奏は、この4回目が最後となります。引き続きピアノレスでの演奏です。

 引き続き同じ流れでの演奏ですが、冒頭のテーマでのコルトレーンのテナーには、演奏への入り方に戸惑いがあるようです。アドリブに入ると3の息が合っていくようですが、時にはチグハグ感もあり、もういいや感での後テーマで終了となります。4テイクの中では最も短い演奏となりました。



【エピソード、バーバラ・ガードナーの記事 その3】

 「あの頃の私は、デクスター・ゴードンやワーデル・グレイのようにプレイしようと頑張っていた」とコルトレーンは言う。「彼らの演奏が好きだった。彼らの演奏は私の最初のアイドル、レスター・ヤングのアイディアが多く使われていた。だからテナーに転向したとき、私は彼らのような演奏を心がけたんだ」

 一九四九年、コルトレーンはジャズの巨人たちと共に経験を積み重ねていく。彼はアルト奏者としてディジー・ガレスピーのビッグ・バンドに入団した。その後はガレスピーのコンボでテナーをプレイする。ガレスピーのバンドに入って間もない頃、ソニー・スティットの儚くも鋭いテナーが彼の耳をとらえた。彼にとっての探求はここでもやはり、他人のとった針路に舵を切ることだった。

 「ソニーのプレイは、私が目指していたようなサウンドだった」とコルトレーンは回顧する。「彼のプレイはデクスターとワーデルの中間のように思えた。両者の発展形というか。私は四六時中、何かを探していて、その時にソニーを聴いたんだ。思わず言ったね。”くそ、これだ! これなんだよ!” とさ」

(資料04より)



【ついでにフォト】

tp06008-078

2006年 香港島 トラム

(2021年4月12日掲載)