19621128-08

My Favorite Things
(R.Rodgers - O.Hammerstein) 
(22分43秒)



【この曲、この演奏】

 コルトレーンのライブにおける最終演奏定番曲が、この日も最後に演奏されました。

 さてこの演奏ですが、最初にブートレグで発売されたのは、(多分)1980年代終わりにマグネティックから発売されたCDでした。ずいぶん早いテポでの演奏なのですが、後年に発売された別のブートレグと聴き比べれば、マグネティック盤制作にあたってこの曲のテープ速度に問題があったようです。また演奏の最後の場面、粘り腰のエルヴィンのドラムスのところで、マグネティック盤でフェードアウトとなっています。ここでの記述は、ノーマから1997年に発売されたCD2枚組(John Coltrane Quartet / The Complete Graz Concert)を聴いてのものです。

 その演奏ですが、コルトレーンのソプラノ・サックスをメインにして、テーマからアドリブ・パートへと、5分強の演奏から始まっています。コルトレーンの演奏は、この日の流れなのか、いつもと違う空気を漂わそうとの試みを感じるものです。

 続くのはマッコイの8分間のソロであり、何かへのトライを感じさせるものです。いくつかの箇所で感じたエルヴィンとの素敵な瞬間が、なんとも言えないものでした。

 そして演奏は再びコルトレーンとなり、最後まで9分半ほどの演奏となっています。ソプラノを吹き始めてから1分40秒あたりでエルヴィンがコルトレーンを鼓舞し、それにコルトレーンが反応していく場面が印象に残るものでした。

 この日のコルトレーン・グループの状態を味わる、ブートレグの魅力を感じた演奏でした。



【エピソード、J. クルーゼとM.デロームとのインタヴュー、その34 最後】

(回答の続き)

コルトレーン
 音楽の真の力はまだ解明されていない。そうした力を手にすることが、すべてのミュージシャンの悲願ではないかと私は思う。こうした力への知識が私を虜にする。私はオーディエンスを触発し、本物の空気を創り出したい。それが私の目指す方向だ。できるだけそこに近づきたい。今までの経験が、私がそのスタート地点へ立たせてくれていることを願う。

 二年半前、私は自分のグループを結成した。それまではレコーディングごとにメンバーを呼び集めていたが、初めて自分のバンドを持つことができた。それからいくつかのプロジェクトを進めてきたが、私たちが何を成し遂げようとも、それは当時の私たちが本気で考えていたことであることは間違いない。だが、今の私たちは、その第一段階の終わりに来ている。次のアプローチを試す頃合いなのかもしれない。私もそう感じている。今がその時期なんだ。


 1962年11月17日のジャン・クルーゼとミシェル・デロームによるコルトレーンへのインタヴュー。ジャズの手帳誌、一九六三年第八号。(資料04)



【ついでにフォト】

tp09038-051

2009年 みなとみらい、横浜 


(2022年10月25日掲載)