19621128-02

The Inchworm (Frank Loesser)
(12分42秒)



【この曲、この演奏】

 1962年欧州ツアーでの2曲目定番曲ですが、11月22日では3曲目の登場となっていました。グラーツでは、座りの良い2番目での登場となりました。

 コルトレーンのソプラノ・サックスとベースの掛け合いから始まり、すぐにピアノとドラムスが加わり、テーマ演奏となっていきます。このいつもの展開なのですが、コルトレーンはテーマを妖しい雰囲気をたっぷり漂わせて演奏していきます。そしてそのままの雰囲気で、アドリブ・パートへ突入します。

 11月22日のコペンハーゲンでもコルトレーンはこの曲に変化を付けましたが、この日は本格的に表現方法を変えていった様子です。

 いつもよりも4分ほど長い演奏になっています。しかし終盤部は表現しきれない場面となり、コルトレーンは次の展開を考えて、演奏を終えたことでしょう。



【エピソード、この日の音源の発売】

 この11月28日グラーツ公演は地元ラジオ局ORF Radio Broadcastが録音していたので、早くからブートレグで発売されていた。Ingoから1970年代に発売された際には、「I Want to Talk About You」と「Impressions」の2曲だけが収録された。その後には各社から発売されましたが、先の2曲に加え、「The Inchworm」と「Everything We Say Goodby」が追加となっただけだった。8曲中4曲は眠ったままであった。

 (私に記憶では)1980年台終盤に Magnetic から発売されたCD2種によって、この11月28日のグラーツ公演の模様が全て聴けるようになった。しかしこれで、めでたしめでたし、とはいかなかった。Magnetic から発売されたCDでは、「Bye Bye Blackbird」の冒頭10秒ほど、そして「My favorite Things」の終わり10秒ほどが途切れていたのだ。

 この11月28日グラーツ公演はその後もブートレグ各社から発売され、その中でこの二つの「10秒間」も聴けるようになったのだ。



【ついでにフォト】

tp09024-026

2009年 みなとみらい、横浜  


(2022年10月19日掲載)