19621122-06

I Want To Talk About You
(Billy Eckstine)   
(10分44秒)



【この曲、この演奏】

 1961年欧州ツアーで何度も演奏されたこのスタンダードは、11月20日のヘルシンキでも演奏されましたが、そのテープは紛失とのことで、聴くことはできませんでした。この11月22日のコペンハーゲンでのこの曲の演奏は、しっかりと聴くことができます。

 いつもの演奏と同様に、コルトレーンがテナーでテーマを大切に演奏していきます。それは引き込まれる演奏ですが、残念なのはリズム陣の録音が芳しくないことでしょう。ピアノはやや弱めですが収録されているのですが、ベースは僅かに聴こえる程度、そしてドラムスは微かに聴こえる程度のものです。

 演奏はいつもの形で終わりを迎えようとし、7分前からコルトレーンがテナー・サックスで無伴奏での演奏となります。そして驚きは、この無伴奏でのテナー・サックス演奏が、3分半に及んだことです。コルトレーンに何かの閃きがあったのでしょう。



【エピソード、J. クルーゼとM.デロームとのインタヴュー、その25】

質問者
 現在の即興演奏的なスタイルを発展させる上で、オリジナル曲だけではなく、スタンダード曲やジャズの定番曲を用いることは有効だと思いますか?


コルトレーン
 ああ、そう思う。それは当然、自分のアイディアやプレイ・スタイルにフィットしたものになる。だが、自分のやり方に完璧にフィットするスタンダードに出会うこともやはり可能なんだ。誰の書いた曲をプレイしようが関係ない。曲さえ良ければそれでいいんだ。聴いていて安心できるスタンダードもあれば、神経に障るスタンダードもある。要はテーマを見つけることだ。自分の性格や感情を表現する上で役立つテーマをね。ただ、素材の選択は一番重要というわけでもない。うちのバンドはこうしたことに、とても保守的なんだよ。


 1962年11月17日のジャン・クルーゼとミシェル・デロームによるコルトレーンへのインタヴュー。ジャズの手帳誌、一九六三年第八号。(資料04)



【ついでにフォト】

tp09020-054

2009年 みなとみらい、横浜  


(2022年10月14日掲載)