Mr. P.C. (John Coltrane) (16分7秒)
【この曲、この演奏】
1962年欧州ツアー定番曲の登場です。
24秒演奏されるテーマを聴くと、この曲では録音状態が安定しています。
最初のソロはマッコイのピアノで、3分半ほどの演奏です。このツアーでマッコイはこの曲で、自分に舞い降りたインスピレーションを表現する術を得たかのようです。続いてはテナーとドラムスで8小節交換を行ってからの、エルヴィンの2分強のソロとなります。これを聴いていますと、もしコルトレーンが叩いたならばこうなるのかと感じた演奏です。
このマッコイからエルヴィンへとのソロにコルトレーンは大満足したのか、10分ほどのソロをテナーで展開します。このバンドでの進むべき方向性を確信した、精神統一のソロといえます。最後にドラムスとの4小節交換を挟んで、クロージングとなっていきます。
【エピソード、J. クルーゼとM.デロームとのインタヴュー、その18】
質問者
ビッグバンドは自分に向いていると思いますか? 例えば「アフリカ/ブラス」のバンドはあなたの伴奏に専念していますが、それがあなたにとってのビッグバンドなのでしょうか? それとも、もっと古典的な編成のバンドのほうがしっくりときますか? つまり、ミュージシャンはあくまでもグループの一員であり、”伴奏付きのソロイスト”ではないようなバンドです。今のあなたには、ソロと伴奏のどちらを重要視いているんでしょうか?
コルトレーン
今はもう、君が言うような”ソロイストのバンド”という表現形式を求めてはいない。その方面ではもう何度も実験を行った。そういうプレイは時に見返りも大きく、満足感もたっぷり得られるが、今はそれをやるつもりはない。
1962年11月17日のジャン・クルーゼとミシェル・デロームによるコルトレーンへのインタヴュー。ジャズの手帳誌、一九六三年第八号。(資料04)
【ついでにフォト】
2007年 アムステルダム、オランダ
(2022年9月26日掲載)