Mr. P.C. (John Coltrane) (15分)
【この曲、この演奏】
判明している限りでは1961年の欧州ツアーでは演奏しなかったこの曲ですが、この1962年の欧州ツアーでは重要レパートリーになりました。
さて演奏ですが、熱気爆発の15分間です。コルトレーンの強力テナーでのテーマの後に、4分強のマッコイのソロとなります。先発を任された心意気からなのか、入魂のピアノ演奏です。終盤にドラムスとの掛け合いがありますが、会場の興奮の様子が伝わってきます。
続くのはエルヴィンの独断場となる3分間です。マッコイから引き継がれた熱気をエルヴィンが薄めるわけがなく、会場全体を熱気で包みました。
その次にコルトレーンのテナーで最後まで演奏される、7分間となります。マッコイとエルヴィンの熱を受けてのコルトレーンの演奏は壮絶と冷静が同居する、聴きごたえあるものとなりました。
【エピソード、11月17日パリ公演の音源発売】
11月17日パリ公演の模様は、1979年にパブロから「The Inchworm」と「Everything We Say Goodbye」が収録された、アルバム「The Paris Concert」が発売された。その後は20年以上に渡りこの2曲だけをコルトレーン・ファンは聴いてきたが、2001年にパブロから「 Live Trane - The European」というCD7枚組が発売され、「Bye Bye Blackbird」や「Mr. P.C.」が聴けるようになった。
このCD7枚組は誤表記が多いのが、コルトレーン・ファンにとって悩みの種であった。この11月17日の演奏として収録されている別の「Mr. P.C.」と「The Inchworm」はこの年の11月19日のストックホルムでの演奏であり、また「My favorite Things」は1963年11月1日のパリ公演での演奏であった。
(資料07)
La Chant du Monde 574 2752.61 (John Coltrane / European Tour 1962)
このCD10枚組が、2017年に発売された。1962年の欧州ツアーの「完全版」とのものだ。その中に、11月17日の演奏が収められている。パブロでは4曲だけの収録だが、このCD10枚組には計12曲が収録されている。しかも、前半の部と後半の部の区別と共に、それぞれの演奏曲順も”明確”にクレジットされている。しかしながら、その判明過程、調査過程についての詳しい記述はない。
ここでは資料07にある通りの数多くの識者が調査を重ねてきたことを尊重し、このCD10枚組の11月17日分については、後日に追加情報として取り扱っていくことにする。
【ついでにフォト】
2007年 ブリュッセル、ベルギー
(2022年8月27日掲載)