19621113-17

You Don't Know What Love Is
(D.Raye - G.DePaul)   
(5分14秒)



【この曲、この演奏】

 映画「凸凹空中の巻」の主題歌として作られたラブ・バラードである。映画はあまりヒットしなかったが、主題歌だけが有名になった。この曲はジャズマンの必須ナンバーと呼べるほどの存在で、収録したアルバムは数知れない。(資料14)

 コルトレーンのこの曲の演奏記録は、本セッションだけです。(資料07)

 さて演奏ですが、「コルトレーンのノー・リズムでのエモーショナルなテーマ演奏に始まり、4ビートにバウンスしてからは、ショート・パッセージを織り交ぜながらイマジネイティブなソロが展開され、ドラマチックなエンディングを迎える」と、資料09にあります。まさにその通りの演奏であり、さらに付け加えるならば、テーマとソロにおけるコルトレーンのテナーサックスの音色が異なる妖艶さをみせていることに、聴くものは吸い込まれていきます。

 この曲は5回のテイクを重ね、その最後のこの演奏が本テイクとなりました。



【エピソード、マウスピース不調説は真なり? その7 各資料の反応】

 この「今日のコルトレーン」企画で使用している資料の中で、「読み物系」の資料は6つある。その中でこの「マウスピース不調説」について言及している資料は、3つある。

 資料03では、マウスピースの不調について触れながら、それによって奏法を変えることはないと、ラヴィ・コルトレーンの発言を掲載している。

 資料04では、先に取り上げたコフスキーとのインタヴューを掲載している。

 資料09には、「スタンダード・ナンバーを多く選択したことに関しては、マウスピース不調説が取り沙汰されているが、真偽のほどは如何なる物だろうか」と、書いてある。

 資料04にも掲載されているコフスキーとの1966年インタヴューが1967年に刊行された以降に世間で囁かれ始めた「マウスピース不調説」であるが、この資料04を除く5つの資料において3つの資料は触れもせず、1つの資料は否定し、残り1つの資料は肯定も否定もしていない。

 このことから「マウスピース不調説」についての、識者達の見解がわかる。



【ついでにフォト】

tp11007-170

2011年 ペナン島

(2021年3月24日掲載)