19621113-12

They Say It's Wonderful (I.Berlin)
(3分4秒)



【この曲、この演奏】

 ミュージカル「アニーよ銃をとれ」のハイライトというべき1曲で、ペリー・コモ、ゴードン・マクレエ、そしてドリス・デイなどの歌唱で有名な曲です。(資料14)

 そしてコルトレーンでも有名な曲ですが、それは翌1963年のジョニー・ハートマンとのセッションでのものです。コルトレーンにとって2度の演奏記録があるこの曲、最初のはこのセッションでした。そしてそれは、コルトレーンのテナーサックスと、マッコイのピアノとのデュオでの演奏です。これは「バラッズ」には収録されずに、2002年になり世に出ました。

 さて演奏ですが、優しさに包まれた世界を、まずはピアノが優雅に表現し、そしてテナーサックスが少しの苦味を加えながら続いていきます。このデュオ演奏は素晴らしいのですが、アルバムの構成を考えた時に外してしまった、ということなのかと思います。



【エピソード、マウスピース不調説は真なり? その6 インタビューから評論家について 後半】


コフスキー
 ビル(・ディクソン)も言ってました・・・、この話題について、ビルとはずいぶん語り合ったんですよ。彼いわく「ピアノで弾いた”アイ・ガット・リズム”を認めるのに何年もかかった連中だぞ。そして今、新たに押し寄せる音楽の波に、キャリアを潰されそうになっている。お互いの理解の上に成り立ってきた・・・」


コルトレーン
 ああ、そうだ。私も同じように思った。だからこう言った。「もしこれはおれの手に負えない、こいつについて何も書けないと悟ったら、そいつのキャリアは本当におしまいだぞ」と。批評家たるもの、レコードについて何も書けなければそれで食っていくことはできない。それに気づいて、私は冷静になった。怒りに任せて(笑)報復してやろうとは思わなくなった。ただ「ダウンビート」誌の批評を読んで凍りついていた時期はあった。というのも、そこには実在しないこと、私がやっていないことを書かれていると感じたからだ。そういった行為は彼らの弱さから来ていると思った。愚かな行為だと思ったよ。


コフスキー
 もちろん、批評家連中を皆殺しにしてやりたいと思いましたよ。


コルトレーン
 ああ。


コフスキー
 だって私は、あなたの音楽を心から楽しく聴いていたわけで。


コルトレーン
 まあ、あれは私にとっての試練だった(笑)。そういうことなんだと。彼らはやりたいようにやればいい。大事なのは、自分のやっていることに忠実であること。



【ついでにフォト】

tp10023-099

2010年 ペナン島

(2021年3月23日掲載)