Impressions (John Coltrane)
【この曲、この演奏】
ライブのコルトレーンを代表する曲であり、インパルス!公式録音のライブではヴィレッジ・ヴァンガードのがお馴染みであり、そのライブ演奏を収録した作品がA(S)-42「Impressions」として1963年に発売され、コルトレーンの有名作品となっています。
この曲のスタジオ録音は、このA(S)-21「Coltrane」向けセッションで4月12日に1回、6月19日に7回に渡り「Excerpt」との曲名で演奏され、そしてこの日に2回演奏されました。この2回演奏された「Impressions」はその存在は知られながら、2002年に世に出るまで幻の演奏となっていました。
この曲はさらにもう1回のスタジオ録音があり、それは1963年3月6日のもので、この曲が2回演奏されています。ただし、この日に黄金カルテットでセッションがあったのは知られたことでしたが、この曲が演奏されていたことは2005年のカーンフェルドの調査で明らかになりました。この曲を含めこのセッションの全体像は、2022年になって世に出ました。
-09 Impressions(6分31秒)
-12 Impressions(4分32秒)
コルトレーンのテナーサックスでのテーマから始まり、そのままソロに突入します。このソロではマッコイはお休みとなり、コルトレーンとエルヴィン、そしてギャリソンの怒号の演奏であります。両テイクともに同じ内容であり、尺を変えただけの違いであり、どちらも迫力ものです。
これほどの演奏が何故に長らく未発表なのかを私なりに想像しますと、まずA(S)-21「Coltrane」にこれを収録すると、全体の色合いの中で異な存在になってしまうとの判断があったのでしょう。そして1963年には、ヴィレッジ・ヴァンガードでの演奏を使った第二作目A(S)-42「Impressions」にこの曲が収録され、一躍コルトレーンの有名曲になってしまい、ますます本セッションでの「Impressions」を登場させる場面を見失った、そんなところだところなのでしょう。
【エピソード、アルバム コルトレーンについて】
ごく明快な「コルトレーン」というタイトルだが、「アウト・オブ・ディス・ワールド」のおどろおどろしい独奏が目玉となっていた。これこそ常識のらち外といった手のもので、そのありさまは、コルトレーンとリズム・セクションがまるで二つの別のバンドの共演とも思える程だった。トレーンは意識してテンポをはずして演奏し、シラケ効果をねらっていたのだ。他には「マイルス・モード」と「トゥンジ」という二曲が、前者はもちろんマイルス・デイヴィスに、後者はナイジェリア人のドラム奏者で音楽学者のオラトゥンジに捧げられたものとして収録された。オラトゥンジの正調アフリカン・リズムは、コルトレーンのコンセプトに大きな影響をもたらし、彼の頭の中ではドラムの大合奏がいつも聴こえる程だったのである。
以上は全て資料01からの引用であり、著者であるJCトーマスの見解である。「アウト・オブ・ディス・ワールド」への感想や、CSOでの打楽器奏者であった著者のアフリカン・リズムへの言及には、私にとって非常に興味深いものである。
【ついでにフォト】
2010年 マレーシア ペナン島でのタイプーサム
(2021年2月25日掲載)