19611103-06

Miles' Mode (John Coltrane)  (15分24秒)



【この曲、この演奏】

 初日に演奏された「マイルス・モード」を、この三日目の最後の演奏に持ってきました。

John Coltrane(ts)
Eric Dolphy(as)
McCoy Tyner(p)
Jimmy Garrison(b)
Reggie Workman(b)
Elvin Jones(d)

 演奏者と使用楽器は初日と同様ですが、演奏時間は五割長くなっています。

 さて演奏ですが、短いテーマの後にコルトレーンのテナーでの5分弱のソロとなります。コルトレーンの行き先を確かめられないかの演奏というものです。またマッコイは迷いのバッキングですが、1分半ほどで演奏を止めています。続くのはドルフィーのアルトでの5分半のソロですが、これはコルトレーンを煽っているかのような、攻撃的な演奏です。ここでのマッコイは強い調子でバッキングを始めますが、これまたすぐに姿を消します。そのマッコイがこの後に4分のソロをとりますが、ドルフィーのアドリブをなぞっているか、たどたどしい演奏に聴こえます。初日の三人のソロはそれぞれ3分ほどですので、そこでの差が演奏時間が伸ばして理由なのですが、伸ばす必要はなかったとは、言い過ぎでしょうか。

 この演奏は1997年に世に出ました。



【エピソード、コルトレーンが語る演奏法】

 1961年11月18日にパリ滞在中のコルトレーンが、フランソワ・ボスティフからのインタヴューで語った、自分の演奏法は次の通りだ。

 「私のプレイ法はこうだ。一つの基準点から飛び立ち、できるだけ遠くまで行く。ただし、願わくは、道を見失いたくない。願わくばといってのは、私には、未踏の領域を発見したいという強い欲求がある。私のフレーズは、単に音楽的アイデアを膨らませたものではないし、自分がテクニック的にこの領域のはるか先へと到達できるならならハッピーなんだ。ただし、それらは常に意識的に行う必要がある。”局所化”するというか、常に自分が特定の場所にいるという自覚が欠かせない。例えばソロの統一感を考えた場合、ほんの一瞬だけ、私は今自分がプレイしているソロの断片を取り出して、そこへ立ち戻ることがよくある。コードは私にとって強迫観念めいたものになっていて、時に双眼鏡の逆側から音楽を眺めているような感覚に陥ってしまうんだよ」

(資料04より)



【ついでにフォト】

tp10004-064

2010年、マレーシア ペナンでのタイプーサム

(2021年1月31日掲載)