India (John Coltrane) (14分)
【この曲、この演奏】
四日間すべてで演奏された「インディア」ですが、この三日目では、それまでの二回参加していたタンブーラのマリクがお休みとなっています。
John Coltrane(ss)
Eric Dolphy(bcl)
McCoy Tyner(p)
Jimmy Garrison(b)
Reggie Workman(b)
Elvin Jones(d)
さて演奏ですが、タンブーラによるドローン効果なしでのテーマはすっきりしたものに感じますが、この曲独特の味わいを活かすならタンブーラ入りの方が良いかなと感じます。
ドラムとベースで演奏がスタートし、コルトレーンのソプラノでアドリブを入れてから、ドルフィーのバスクラが加わりテーマとなります。続いてはコルトレーンのソプラノによる4分弱のソロ、ドルフィーのバスクラでの3分半のソロ、そして再びコルトレーンのソプラノでの3分間のソロと演奏は進んでいきます。淡い色彩の中での激しい流れのような雰囲気でのこれらのソロは、なかなかのものです。そして後テーマとなり、演奏は終えていきます。ドラムとベースは生き生きとしている力強さがありますが、ピアノはたまに弾く場面でもおっかなびっくり様子であり、何かの迷いがあるのでしょうか。
この演奏は1963年に世に出ました。
【エピソード、コルトレーンとドルフィーへの批判】
資料01に、ジョン・タイナンの発言がある。
ハリウッドのルネッサンス・クラブで、目下評判のジャズという名をかたった音楽を聴いた。音楽を、あのスイングという目に見えない要素に変えることのできるのは、そこに個々の演奏者から結集した調和があるからだと私は思う。コルトレーンとドルフィーは、この重要な調和を意図的に破砕しようとしているのである。彼らは反ジャズとしかいいようのない不毛の道に踏み込んで、そのアナーキーな音楽の追求に心を奪われたのである。
資料07にある情報では、ドルフィー入りでのクインテットで10月3日から11日にかけて、LAにあるクラブ ルネッサンスに出演していたとなっている。このジョン・タイナン氏はこのステージをみたのであろう。その演奏の音源は確認されていないため、ヴィレッジ・ヴァンガード四日間の一月前にどのような演奏をしていたのかは知る由もない。
どの時代においても新たな音楽、美術や映画もそうだが、新たな試みは必ず批判されるものだ。そしてその試みが本物ならば、その批判は絶賛に変わっていくのである。(マハール)
【ついでにフォト】
2010年、マレーシア ペナンでのタイプーサム
(2021年1月29日掲載)