Spiritual (John Coltrane) (13分48秒)
【この曲、この演奏】
初日には四曲目、二日目には三曲目に演奏されたこの「スピリチュアル」ですが、三日目には冒頭に演奏されました。
John Coltrane(ss,ts)
Eric Dolphy(bcl)
McCoy Tyner(p)
Reggie Workman(b)
Elvin Jones(d)
演奏者と使用楽器も過去二回と、微妙に変えています。初日と比べるとコルトレーンはソプラノとテナーを使用していること、二日目と比べればコントラバスーンのガーヴィン・ブシェルが参加していないことです。
さて演奏ですが、コルトレーンのテナーにドルフィーのバスクラの精妙な絡み、そしてエルヴィンの重みを感じるテーマから始まります。コルトレーンのテナーによるソロは三分半のもので、テーマから続く深い祈りを感じさせるものです。またピアノとに一体感も良いもので、後半には神への語りかけを感じさせます。そして二分強のドルフィーのバスクラへと続き、ドルフィーがこの曲でのバスクラの存在意義を掴んだかのような演奏です。続くのはマッコイのピアノ、三分強です。いろんな意味で悟りを開いたかの演奏であり、特に後半のドラムとの一体感は見事です。ソロの最後はソプラノでのコルトレーンで、一分半の演奏であり、神への叫びに聴こえます。そして後テーマですが、コルトレーンのソプラノとドルフィーのバスクラの相性の良さを感じながら終わっていきます。
この演奏は1962年に世に出ました。
【エピソード、三日目のセッションについて】
ヴィレッジ・ヴァンガードのライブ・レコーディングも、いよいよ三日目となった。この日は、初日と二日目のマリク、そして二日目に参加していたブシェルが加わっていない。曲目をみると、初日と二日目に演奏された「Chasin' The Trane」が演奏されずに、初日に演奏され二日目には演奏されなかった「Miles' Mode」と「Naima」が演奏されている。
この日に演奏された六曲の半分の三曲が1960年代に発売されており、これまでの二日間の経験から、メンバーと演奏曲を練ってのセッションだったのであろう。
【ついでにフォト】
2010年、マレーシア ペナンでのタイプーサム
(2021年1月26日掲載)