Blues Minor (John Coltrane) (7分21秒)
【この曲、この演奏】
「タイトルと異なり明確なブルース形式はとらないアップ・テンポのモード・チューン」(資料09)であるこの曲では、コルトレーンのテナーの爆進ぶりと刺激的なブラスのアンサンブルが重なって、迫力に溢れる展開となっています。
この曲のコルトレーンの演奏記録は、本セッションだけです。
【エピソード、ロック側からのアフリカ/ブラス】
「65年、中西部あたりを旅しながら、アルバム『ミスター・タンブリンマン』の制作を手伝っていたとき」とバーズを作ったギタリスト兼歌手のロジャー・マッギンは語る。「デイヴィッド・クロスビーの友達がいて、その家に呼ばれたんだ。そこに〈アフリカ〉が収められているコルトレーンのアルバムがあった。ただもうぶっ飛んだね。デイヴ・ブルーベックみたいなジャズは聴いていたけれど、その枠をはみ出すようなやつは聴いたこともなかった。実際に胸が痛くなったよ。心臓発作でもないし、腹にガスが溜まったわけでもない。いってみればそれは感情の痛みだ。心の中に新しい感情の領域がぽっかりとあいたんだ。最初は痛かったけど、次にはそれが好きになっていた」
「バンドが結成された頃にはコルトレーンはもういなかったから、あてにできるのはそのレコードだけだった」とグレイトフル・デッドのベーシスト、フィル・レッシュは振り返る。「一番は『アフリカ/ブラス』だな。(ドラムの)ビリー(・クロイツマン)は〈アフリカ〉でのエルヴィンのドラム・ソロが大のお気に入りだった。他の連中は、曲全体や構成やその展開の仕方、金管の使い方なんかがいいと言っている。それにコルトレーンのあの質の高いプレイから言って、〈ブルース・マイナー〉はおれのお気に入りの一つだよ」
(以上は資料13より)
【ついでにフォト】
2010年、タイプーサム、ペナン、マレーシア
(2020年12月31日掲載)