19610301-13

Summertime (DuBose Heyward & George Gershwin)  (12分51秒)



【この曲、この演奏】

 有名スタンダードのこの曲ですが、コルトレーンの公式発売としては1960年10月24日のアトランティックへの録音が、1961年3月にアルバム「My Favorite Things」に収録され発売されました。ライブでのブートレグ発売となりますと、このサザーランド・ラウンジに他に、1960年6月のジャズ・ギャラリーでのものがあります。

 さてサザーランド・ラウンジでの演奏ですが、コルトレーンのテナー・サックスでのソロの途中から収録が始まり6分半、そしてマッコイのピアノ・ソロが6分強、さらにベース・ソロとなったところでフェイド・アウトして終わっています。コルトレーンもマッコイも燃えた演奏だけに、残念であります。コルトレーンのソロの途中でこの曲のメロディらしきものがありますが、マッコイの演奏を含めてテーマが収録されているのがその一瞬だけです。



【エピソード、1961年のコルトレーン その2】

 アトランティックの諸作から分かるように、コルトレーンはアレンジャーとしてのすぐれた才能を発揮するようになった。メジャー・スケールとマイナー・スケールの間で行ったり来たりする構成が、「マイ・フェイヴァリット・シングス」という曲の魅力となっている。この曲は、年季の入ったジャズ・ファンから初心者のジャズ・ファンまで、無定見のジャズ・ファンから堅物のジャズ・ファンまで、あらゆるリスナーをとりこにした。冒頭で使われるEマイナーのパートが神秘性をかきたてる。そしてEメジャーのパートが素朴で明るい雰囲気を醸し出す。
 ソロにおいて、タイナーとコルトレーンはマイナー・スケールで、できるだけシンプルに、できるだけ長く演奏したあと、メロディに入る。そのあとメジャー・スケールになり、再びメロディを演奏し、またマイナーに戻る。数年前にアーマッド・ジャマルが「ポインシアナ」をテンポを切り替えながら弾いたように、「マイ・フェイヴァリット・シングス」は、一貫したメロディにより、一つの曲の中にある二つの異なったムードが堅固に結びついた演奏になっている。(資料03より)



【ついでにフォト】

tp16001-052

2016年 みなとみらい、横浜 


(2023年1月17日掲載)