Greensleeves
(Traditional from England)
(17分34秒)
【この曲、この演奏】
1961年のコルトレーンにとって大切なこの曲ですが、2012年発売CD3枚組の中では2回目の登場となります。
演奏はベースとドラムスで30秒ほど演奏し、コルトレーンのソプラノ・サックスが聴こえてきてテーマとなり3分ほど演奏します。1分過ぎからアドリブを交えていきますが、まだどのように表現すべきか迷っている姿が伝わってくる演奏です。
続いてはマッコイの8分近くのピアノ演奏となりますが、序盤は録音レベルが小さく、そしていきなり大きくなっていく状態です。肝心の演奏ですがまだまだマッコイにも迷いを感じる演奏です。しかし徐々に、コルトレーン・グループでマッコイが開花させる独自のピアノの世界が垣間見える演奏へと変わっていきます。
そして再びコルトレーンがソプラノ・サックスで登場し、エンディングまで6分ほど演奏します。テーマから入り、すぐにアドリブへとなっていきますが、マッコイの演奏からヒントを得たのか、前はとは見違える演奏です。まだまだ快調とは言えませんが、徐々にこの曲を自分のものにしていくコルトレーンの姿を感じ取れます。
【エピソード、1961年のコルトレーン その1】
(アルバム)「マイ・フェイヴァリット・シングス」は一九六一年三月に発売された。コルトレーンは「ジャイアント・ステップス」に対しては自己批判的な言葉を口にしていたが、「マイ・フェイヴァリット・シングス」には無条件にのめり込んでいた。
アルバムの発売から一年後、彼はフランスの批評家フランソワ・ポスティフに次のように語っている。「これはわたしがこれまでレコーディングしたなかで、いちばん気に入っている曲だ。この曲だけはもう一度録り直そうなんていう気は起こらない。他の曲はみんな、多かれ少なかれ、やり直そうとしたらもっとうまく演奏できるかもしれないけどね。このワルツは素晴らしい。スローで演奏したら、とても心地よいゴスペルのようなサウンドになる。速いテンポでやると、また別の確固たるフィーリングが生まれるんだ」
(資料03)
【ついでにフォト】
2016年 みなとみらい、横浜
(2023年1月16日掲載)