Blues To Elvin (alternate take)
(John Coltrane)
【この曲、この演奏】
「あるかないか分からないテーマ、とってつけた様なタイトル、リラクゼイションに満ちたオーソドックスな演奏」と資料09で評されたコルトレーン作のこの曲、コルトレーンの演奏記録は本セッションだけです。本セッションでは4回演奏され、最後のテイク4が1382(Coltrane Plays The Blues)として世に出て、他の3つのテイクは資料16で初めて世に出ました。
-10 Blues To Elvin (alternate take) (10分59秒)
本テイクとなったテイク4よりも3分長く、ここでは演奏されています。演奏内容は、このバンドでのスロー・ブルースの演奏スタイルを確かめるかのような感じであり、コルトレーンはリラックス感もあり、また手探り感もあるものです。またタイナーはこのバンドでの自分の役割を掴んでいくような、緊張感も感じる演奏です。この時期のコルトレーン・バンドを、気軽に楽しめる演奏と言えるでしょう。
資料07には、このテイク1について、二つの情報を掲載しています。
一つ目は資料16で世に出た演奏の前に、27秒のリハーサルが「Promotional tape」にあったとのものです。そこでコルトレーンは、「Don't play it, don't play it too fast」と言っているとのことです。
二つ目として、このテイク1は E で演奏されており、他の3つのテイクは E♭ で演奏しているとのことです。これはテープの再生スピードによるものではないと、資料07では念を押しています。
-11 Blues To Elvin (false start) (9秒)
コルトレーンが加わる前に、演奏は中止となりました。タイナーのピアノが止まってものですが、キーの変更での何らかが中止の理由なのかも知れません。
-12 Blues To Elvin (alternate) (6分1秒)
確かにテイク1と比べれば、やや音が下がっている気がします。演奏ですが、コルトレーンに多少のイライラ感を感じますが、もっとアグレッシブにとの思いなのかも知れません。演奏は最後まで行われていますが、テイク1の半分弱の演奏時間であり、コルトレーンがメンバーに目で合図して演奏を終わらせたのかなと、私は感じています。
【エピソード、1960年頃のコルトレーン、読書】
いつ、どこで彼が読書にさく時間をみつけているか、ネイーマにはまったく分からなかった。家ではテレビのスイッチを入れたままにしておくことが多かったが、それを見ていたのは主にトニだった。テレビの音が絶えず家の中を流れていたが、彼はその音に構わず、しばしば宇宙旅行や地球以外の惑星に生物が存在するかどうかといったことをジータと話し合ったり、アインシュタインについて論じあったりした。ジョンはまた、引力や電磁力といった問題に熱中し、相対性理論に関してもかなり多くの本を読んでいたが、それは奇妙な予言的な結果をともなうことになった。
(資料01)
【ついでにフォト】
2006年、香港
(2020年9月5日掲載)