Summertime
(DuBose Heyward & George Gershwin)(11分33秒)
【この曲、この演奏】
名曲「サマータイム」のコルトレーン演奏記録は、公式発売された演奏は本せセッションだけです。資料07によれば、他に5回ほどの演奏記録があります。本セッション以前の間違いないだろう情報としては、この年1960年の5月から7月に、第二期カルテットでNYのジャズ・ギャラリーで行ったライブ演奏であり、2011年にブートレグ発売されています。多分そうかも情報としては、1949年秋のガレスピー・ビッグバンドでの演奏があります。本セッション以後ですと、1961年3月の10日間の、第五期カルテットでのシカゴのサザーランド・ホテルでのライブがあり、2012年にブートレグ発売となりました。また1961年8月25日にNYのジャズ祭でこの曲が演奏されたようですが、メンバーを含めて詳細は分からずとのことです。
この曲は黒人霊歌「時には母のない子のように」をヒントに作られ、「夏の暮らしは楽だよ。魚は飛び跳ね、綿もすくすく育っている。だから赤ちゃん、もう泣かないで」とのような歌であり、子守唄の雰囲気での歌唱、そして演奏が多くありました。
ところがコルトレーンはそれを木端微塵にぶち壊し、インストものとしてのこの曲に新しい方向性を、この演奏でしましています。コルトレーンのテナーも、マッコイのピアノも、ベースもドラムも、同じ方向に思いをぶつけての演奏を行っています。コルトレーンはこの演奏で、自分のバンドの方向性に、手応えを感じたことでしょう。
この演奏以降、ジャズに限らずポップスの分野でも、この曲にいろんな思いをぶつけたものが登場していくことになりました。
1361(My Favorite Things)に収録され、1961年3月に世に出ました。
【エピソード、エルヴィン・ジョーンズについて】
資料03に、コルトレーン・バンド加入前までのエルヴィンについての記述がある。
教会の助祭だったエルヴィンの父はジャズを悪魔の音楽とみなしていた。エルヴィンは礼儀正しさと放縦さを併せ持つ青年に成長した(一九五〇年代から一九六〇年代にかけて、彼はジャズマンのなかでも札付きのヘロイン常用者だった)。一九五六年にNYにやってきたエルヴィンは、一九五七年にヴィレッジ・ヴァンガードで行われたライブ・レコーディングでソニー・ロリンズと共演した。(一部省略)そこでは彼は、後年のエルヴィンを思わせるプレイを披露している。だが当時の彼はジャズの規則正しくあるべきリズムを不安定にするドラマーとして知られていた。彼は正確なビートを刻まず、とくにアップ・ビートが不明確だった。その代わりに彼はシンバルとスネア・ドラムをつなげてアクセントをつけていた。
【ついでにフォト】
2005年、香港
(2020年9月1日掲載、改訂2022年10月6日)