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Exotica (John Coltrane)  (5分22秒)



【この曲、この演奏】

 「Exotic」ならば慣れ親しんだ英単語ですが、この曲名の「Exotica」となると珍しい英単語に感じます。ウィズダム英和辞典によれば「(芸術作品・風俗などの)異国風の事物」との意味で、エキゾチックの名詞形なのでしょう。

 この曲は「Untitled Original」との表記となることが多いです。

 コルトレーンのこの曲の演奏記録は、資料07によれば5回ほどとなっています。最初はこの年の六月十日に第二期カルテットでNYのジャズ・ギャラリーで、二度目も同様で六月二十七日、共にコルトレーンはソプラノ・サックスを吹いています。三度目は、七月十八日から二十三日までのフィラデルフィアのショウボートへの出演で、ここでも第二期カルテットでソプラノ・サックスを吹いています。一週間の出演期間中に何回この曲が演奏されたのかは、不明です。四度目は第三期カルテットで、ユナイテッド・レコーズへのスタジオ録音、コルトレーンはテナー・サックスを使っています。そして五度目が本セッションであり、第四期カルテットでソプラノ・サックスをコルトレーンは吹いております。

 この演奏記録を振り返れば、全てに参加しているメンバーはマッコイ・タイナーだけとなります。

 この曲について、資料07では「I Can't Get Started」をコルトレーン流にアレンジした曲としています。また資料09では、「ボディ・アンド・ソウル」によく似た曲と書いています。

 さて演奏ですが、曲名通りに異国風の雰囲気をコルトレーとマッコイで追求していくもので、この後のコルトレーンの演奏に、ここでの追求が生きてきています。

 この演奏は、1970年4月発売のAlt 1553(The Coltrane Legacy)に収録されて世に出ました。



【エピソード、マッコイとエルヴィンの加入】

 資料03からマッコイとエルヴィンの加入についての簡単な記述がある。

一九六〇年の夏、コルトレーンはピアニストのマッコイ・タイナーをグループに雇い入れた。コルトレーンと同じくフィラデルフィア州出身で、弱冠二一歳の新人だった。九月にはドラマーのエルヴィン・ジョーンズが加入した(コルトレーンとエルヴィンが初めて出会ったのは、シャドウ・ウィルソンを敬愛していたエルヴィンがモンクとコルトレーンのグループを聴きにファイブ・スポットに出かけたときだった)。エルヴィンはビートに対して後乗りで叩く。タイナーはオン・ビートで弾く。コルトレーンのグループで、この二人のプレイはいいバランスを保っていた。

(原文通りに引用。コルトレーンはノース・カロライナ州出身)



【ついでにフォト】

tp05031-023

2005年、香港

(2020年8月31日掲載)