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Mr. Syms (John Coltrane)  (5分22秒)



【この曲、この演奏】

 コルトレーン作のこのブルース曲は、スタジオ録音ではこのセッション限りの演奏となります。しかしライブでは、この年の7月18日から23日までのフィラデルフィアのショーボートでのライブ出演で、何度か演奏されています。その際のメンバーはマッコイ入りの第二期カルテットでの演奏で、そこでもコルトレーンはソプラノ・サックスで演奏していたとのことです。(資料07)

 あえて抑え気味のテンポで演奏しているように思うのですが、コルトレーンのソプラノには神秘の響きが芽生えだし、マッコイのピアノには後年の黄金カルテットでの演奏への萌芽を感じさせるものがあります。



【エピソード、ソプラノ・サックス入手の経緯】

 コルトレーンとソプラノ・サックスについて、資料03に次の記述がある。

 一九六〇年六月、コルトレーンはレコーディングでテナーと同時にソプラノ・サックスを使い始めた。ライブでソプラノを吹くようになってからまだ五ヶ月しか経っていなかった。彼がこの楽器に興味を持つようになったのは、車に乗せてやったヒッチハイクのミュージシャンが、持っていたソプラノ・サックスを置き忘れて降りてしまったのがきっかけだった。その後、マイルス・デイヴィスがソプラノをコルトレーンにプレゼントした。マイルスは、三月のヨーロッパ・ツアーの途次、パリのアンティーク・ショップで買ってコルトレーンに与えたと語っている。ジミー・コブによると、コルトレーンはバスの中で、いつも「ソプラノで東洋風のスケールを吹いて」時間を潰していた。



【ついでにフォト】

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2006年、香港

(2020年8月30日掲載)