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Village Blues (John Coltrane)  (5分22秒)



【この曲、この演奏】

 これはコルトレーン作の、そして彼のスタイルの一つになっていくミディアム・テンポのブルース曲であります。この日のセッションではこの後にもう一度この曲が演奏されていますが、本テイクは最初のこの演奏となりました。

 資料06,07によれば、この曲は1963年10月26日のアムステルダムのコンセルトヘボウでのライブで、演奏されています。この情報はコンサートを鑑賞した方の情報なので、1963年秋の黄金カルテットでの欧州楽旅で、他にも演奏されていた可能性があると思います。

 さて演奏ですが、このバンドの濃密さが感じられるものです。コルトレーンは自身のバンドのメンバーとして、マッコイ・タイナーとはライブで既に何度も演奏をともにしています。しかしエルヴィン・ジョーンズとは、その意味では記録上ではこの日が初手合わせとなります。それでいながら、後年の黄金カルテットでの演奏にこの演奏が繋がっていくことを、理解できる演奏内容となっています。

 この演奏について資料09にあるプロの解説では、「ポリズミックなドラムを横糸に4度を中心にした分厚いピアノのヴォイシングを縦糸にコルトレーンは新たなサウンドを織り始めた」と書かれています。




【エピソード、本セッション】

 各資料を見ますと、このセッションでの演奏曲については、様々な情報がある。この「今日のコルトレーン」では、公式発表の資料16とそれを基にした資料07を正として、セッションリストとしている。「Equinox」と「The Night Has A Thousand Eyes」はこの日に演奏されたが、テープ消失により、日の目を見なかったのである。

 また「My Favorite Things」については資料07には興味深い記述があるが、アトランティックの公式記録には無い情報なので、一つの話として別掲することにする。



【ついでにフォト】

tp09053-168

2009年、みなとみらい

(2020年8月11日掲載)