Everytime We Say Goodbye
(Cole Porter) (6分29秒)
【この曲、この演奏】
1961年から翌年にかけてのコルトレーンのライブにおける定番演奏スタンダードですが、1960年10月26日にアトランティックでレコーディングされ、1961年3月に発売されたアルバム「マイ・フェイヴァリット・シングス」に収録されたものが、公式発売では初登場となります。
この1960年10月の3日間レコーディングへの肩慣らしのようなジャズ・ギャラリーで、この曲も演奏されていました。
さて演奏ですが、コルトレーンがソプラノでテーマを2分ほど、続いてマッコイが2分、再びコルトレーンのソプラノで2分ほどといった構成です。
コルトレーンが奏でるテーマでは、優雅でありながら憂いも含むソプラノ・サックスの響きに、バックが上手く対応できていない様子です。またマッコイのソロは、コルトレーンのバンドでの演奏というより、自分のトリオで演奏しているのかなと感じるものです。
良い感想ではありませんが、これがブートレグの魅力なのです。コルトレーンが自身のバンドを作り上げていく初期を、そしてこのスタンダードをカルテットの演奏として成熟させていく最初の段階を、このジャズ・ギャラリーで確認できます。
【エピソード、ダウンビート誌1958年10月16日号 その3】
「人だ誰しも、他人とまったく同じようにはプレイできないんだ」
自身の力不足に意気消沈したコルトレーンは、ガレスピーのバンドを辞め、音楽的理想とそれに伴う完全性の追求のため、フィラデルフィアに戻った。一時的に、彼は仕事に逃げ場所を見いだそうとした。
「手当たり次第にギグに出ていたよ」とコルトレーン。「別に何もプレイしなくて構わなかったんだ。プレイが少なければ、それに越したことはなかった」
ダウンビート誌、一九五八年十月十六日号、16-17ページより(資料04)
【ついでにフォト】
2012年 ペナン、マレーシア
(2023年3月30日掲載)