Liberia (John Coltrane) (29分52秒)
【この曲、この演奏】
この1960年10月のアトランティックでのレコーディングに備えたライブのようなジャズ・ギャラリーですが、このコルトレーン作の曲も、10月26日にレコーディングされました。
コルトレーンがテナーサックスで吹き始め、テーマからアドリブへと、17分を超える熱演を行なっています。この後のインパルス!期のコルトレーンの躍動が想像できるものが、ここにあります。また頭に浮かんだ景色をどれだけ長く演奏できるかの挑戦が、ここにあるように感じました。
続くのは5分半ほどのマッコイのソロであり、その中にはコルトレーンが作った流れをピアノで表現していく瞬間が、いくつか散りばめられています。
そして、ラロカの6分近いソロへとなっていきます。これだけを聴けば、存在感がある、個性あるドラマーの姿を存分に感じます。
演奏は再びコルトレーンに戻って、無伴奏を挟みながら、1分半ほどの演奏を行なって、終わっていきます。
この日のジャズ・ギャラリーでの白眉であるこの演奏は、この後のコルトレーンの活動を知っている者には、いろんな考えが浮かんだものです。
【エピソード、ダウンビート誌1958年10月16日号 その2】
それ以前にコルトレーンはフィラデルフィアで音楽を学びながらステージに立ち、チャーリー・パーカー直系グループの流行を会得していた。ガレスピーのバンドに入らないかと誘われたときも、彼には自信があった。
だが、それは幻想だったとことを思い知る。
「ディズとやっていた頃の私は、本当は自分自身を表現しなければならないということが分かっていなかった」とコルトレーンは振り返る。「私は手垢のついたフレーズを吹き、格好いい曲ばかりを覚えようとしていた。その手のバンドに入って演奏するために」
「それよりも前に、初めてバードを聴いたとき、私は彼のように吹きたいと思った。彼のプレイに飲み込まれたいと思ったんだ。ただ本心では自分らしくありたかった」
ダウンビート誌、一九五八年十月十六日号、16-17ページより(資料04)
【ついでにフォト】
2012年 ペナン、マレーシア
(2023年3月29日掲載)