All Blues (Miles Davis) (17分1秒)
【この曲、この演奏】
3月22日のストックホルムの第二部、24日のコペンハーゲンで演奏された「マイルス作のモーダルな6拍子ブルース(資料09)」が、4月8日のチューリッヒでも演奏されました。
ミュートのマイルスでテーマ演奏ですが、他の日と比べると引き締まった2分弱のものになっています。そしてマイルスが消音器を外してソロへと入り、塩っ辛い響きで5分弱の引き込まれる演奏を行なっています。それに続くのがこるの4分半ほどのソロですが、マイルスの流れを引き継ごうと演奏を始めたけれどうまく乗り切れなかった、と感じるものです。
演奏はケリーの4分弱のソロがあり、再びミュートでのマイルスが登場してテーマとなり、終わっていきます。
この後に短い「The Theme」となり、チューリッヒのコンサートは終わりました。
【エピソード、ブノワ・ケルサンによるインタビュー その8】
ケルサン
そして、より多くのメロディの自由を手にしたいと。私が正しいかどうかはわかりませんが、あなたはより単純化した・・・ある種のモードをプレイしているように思われます。ある種のスケール、改良したスケールを。
コルトレーン
それは正しいね。私は今、その分野を掘り下げている。その分野で先鞭をつけたのはマイルスだろう。彼はその手のことをやっていた。私が彼のバンドにいた頃はね。あの頃の私はコードに取り組んでいた。一方、マイルスはモード理論に挑んでいた。やがて私の自分のグループを持つようになり、リズム・セクションにもっと自由を与えるには、このモード理論のアプローチを採り入れる必要性があると感じた。モーダルな音学下では、和声構造の厳しい制約に縛られる必要がなくなり、ソロイストは好きな構成で自由にプレイできると同時に、リズム・セクションの安定が失われたり散漫になることもない。だから、今の私たちの音楽の大半は、特定のパートやセクションにモードを使っている。そのうち、内在的なハーモニーすら存在しないセクションも出てくるだろう。
(資料04より、時期は1961年の夏か秋だろうとのこと)
【ついでにフォト】
2006年 香港
(2023年6月16日掲載)