Fifth House (John Coltrane) (4分41秒)
【この曲、この演奏】
「Some Other Blues」同様に11月24日の演奏はテープ紛失、この日に再収録となりました。この曲をコルトレーンは1961年8月7日に、ドルフィー入りクインテットでデトロイトのライブで取り上げた記録が、資料06にあります。しかしながら私家録音もなく、従ってこの曲のライブ演奏は聴く事ができません。
不思議な魅力に包まれる、曲と演奏です。資料09にはこの曲について、「モーダルなパターンと典型的コルトレーン・チェンジのサビを持つ、この時期らしい曲」との解説があります。私にはインパルス時代のコルトレーンの世界を感じさせるものが、この曲と演奏にあると思いました。どちらかと言えば淡々と吹くコルトレーンですが、魅力的な演奏でした。
【エピソード、ラヴィ・シャンカール】
コルトレーンの新しい家には、ポール・ジェフリーがよく来て、二人で地下室で練習していた。またアールとカール・グラブスも二、三ヶ月おきに来て、コルトレーンに自分たちの演奏を聴かせてた。コルトレーンは二人に対して感想を述べるだけで、決して批評はしなかった。
ある時、アールはコルトレーンが蒐集したレコードの中にラヴィ・シャンカールのアルバムがあるのに目をつけて、どんなレコードかとコルトレーンにたずねた。コルトレーンは二人のために、モーニング・ラーガを演奏してみせ、いくつかの五音音階を勉強するようにとそれを書いて渡した。
その頃彼はおそらくユセフ・ラティーフの影響だと思われるが、インド音楽を聴くようになっていた。ラティーフは永年東洋音楽に深い関心を抱いていたが、コルトレーンは彼の演奏を聴いてみてその影響にはっきりと気づいた。このとっておきの抽象的なインド音楽は、ハーモニーを度外視してメロディとリズムを極端に強調しているが、コルトレーンはそれにすっかり夢中になって、一九六一年にシャンカールと手紙のやり取りを始めた。その結果、一九六五年に、二人は初めて会うことになったのである。(資料01)
【ついでにフォト】
2006年、香港
(2020年8月5日掲載)