Naima (John Coltrane) (4分22秒)
【この曲、この演奏】
アトランティックのコルトレーン、彼が勝負曲とし用意したこの曲は、シダー・ウォルトンでの3月26日に6回演奏しましたが、満足できるものはなしでした。しかしトミー・フラナガンでの5月5日は、満足できる演奏ができたはずであります。2テイク、3テイクと演奏する曲もある中で、この曲は1回の演奏で終えたからです。「Giant Steps」にしろ「Mr. P.C.」にしてもレベルの高い演奏を行った5月5日だけに、この「Naima」もさぞや素敵な演奏だったことでしょう。
しかしテープの紛失とのこと、この日にピアノをウィントン・ケリーでの再演となりました。
さて演奏ですが、深淵であり、哀しみと希望が同居するような神秘のこの曲を、コルトレーンはテーマをじっくりと演奏することに集中しています。そのことによりこの曲の魅力が一層増しております。またケリーのピアノは、この曲から想像を膨らませ、短いながらも興味深い演奏を披露しています。
このセッションではこの演奏の前に5曲演奏しています。聴けるのは3曲ですが、それらはまるでこの「Naima」のための、準備運動にも思えてしまいます。
このセッションでの演奏に酔いながら、でもトミフラとはどんな演奏をしたのだと思いとなりました。
【エピソード、1959年の食生活】
コルトレーンの体重はたえず増えたり減ったりしていた。時として、三〇パウンド(約14キロ)も体重オーバーになることもあった。友人たちのアドバイスによって、彼はタイガー印の牛乳や生野菜、温床育成の果物、いろんな種類の豆類などの健康食品を食べ始めた。最新作のレコードあさりのためサム・グーディの店に寄るのと同じくらいの頻繁さで、健康食品店に顔をだした。コルトレーンの食生活のこうした習慣と、ネイマの回教徒として定められた食事しかとらない習慣に耐え切れなくなったトニは、ある時抗議した。「マミー、たまには普通の家みたいにホット・ドックとかハンバーガーでも食べさせてよ、こんな健康食品なんか見たくもないわ」(資料01)
【ついでにフォト】
2006年、香港
(2020年8月3日掲載)