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Giant Steps  (John Coltrane) (4分46秒)



【この曲、この演奏】

 コルトレーンがアトランティックでの門出に準備したこの曲、何度も演奏を重ねて、いよいよOKテイクとなります。

 実質的なプロ活動に入れてから4年の間にコルトレーンが勉強と研究、そして共演者からの学びを通じて得てきたことの一面が、この演奏に実ったと言えます。資料09にある「圧倒的な存在感と完璧さ」という言葉、誰もが思うところでしょう。

 この演奏でのフラナガンのソロに関しては、いろいろと言われてきました。資料09にも「途中で途絶えてしまっているかの印象」「コルトレーンのあまりの巨大さに圧倒されたため」とあります。

 私が思うに、レコーディングのために集まるピアニストということなら、どんな名手でも同じ状況になったでしょう。コルトレーンと気心しれた名手フラナガンだからこそ、あそこまでの演奏が出来たと、コルトレーンは感じていたのではと思います。

 コルトレーンが追求する音楽を実現するためには、やはりレギュラーな活動となるピアニスト、そしてリズム陣が必要だと、彼は実感したのでは。

 これまでのコルトレーンの頂点であり、これからの出発点といえる演奏、そんな風にも感じます。




【エピソード、自分の音楽出版社】

 コルトレーンは近い将来に自分のバンドを結成することになるだろうと思っていた。それはもう時間の問題であり、適当なミュージシャンさえ見つかればよかったのだ。さらにまた、ラベットの法律面の協力の下に、彼は自分の音楽出版社をつくってリーダーシップを取るべく準備していた。「ジャイアント・ステップス」に収められた曲のすべてはコルトレーンが設立した会社、ジョーコルの名前で出版され、その演奏の放送に関してはブロードャスト・ミュージック社と代理契約を結び、そのモニターの仕事を同社に委任した。(資料01)

 「適当なミュージシャン」は「適切なミュージシャン」とのことだが、これに辿り着くまでコルトレーンは一苦労となる。



【ついでにフォト】

tp10015-007

2010年、ペナン、タイプーサム


(2020年6月29日掲載)