19590326-15-22

Like Sonny  (John Coltrane)



【この曲、この演奏】

 複雑な構成の曲ですが、純粋にメロディ・ラインの抑揚感を楽しめます。この曲も他の2曲と同様に、コルトレーンが温めていたものなのでしょう。

 本セッションでは、リハーサルとして2回、そして7つのテイクが収録されました。その最後のテイクが、「Alternate Takes」に収録されて1975年に世に出ました。残りは「The Heavyweight Champion john coltrane」の「Disc Seven」に収録され、1995年に世に出ました。ここではその「Disc Seven」分について、触れていきます。


-15 Rehearsal 1, false start (9秒)

 リズム陣だけで出だしを確認しているものです。


-16 Rehearsal 2, incomplete (1分35秒)

 リズム陣の出だし、そしてコルトレーンがテーマを吹きながら音合わせしています。


-17 Take 1, false start (19秒)

 いよいよ本番、ピアノの出だしがガチガチのためか、すぐに中断となりました。


-18 Take 2, incomplete (3分7秒)

 テーマを吹き終えてソロに入って行くコルトレーンですが、気持ちが乗って行かずに、途中で終わりとなりました。


-19 Take 3, incomplete (1分8秒)

 相変わらずピアノとドラムがチグハグな演奏、コルトレーンもテーマの途中で音を乱して、演奏は中断となりました。


-20 Take 4, false start (8秒)

 すぐに中断、ピアノに軽やかさが欲しいところなのでしょう。


-21 Take 5, alternate (8分24秒)

 一度は完走しましょうとのことで最後まで演奏しましたが、実にボロボロの演奏となりました。このセッションでウォルトンに初めてソロ・スペースが与えられましたが、緊張で汗ばむ額が目に浮かんでくるような演奏でした。


-22 Take 6, incomplete (1分9秒)

 少しは滑らかになって来たかと感じる演奏ですが、コルトレーンのテーマでの途中で中断となりました。「俺が用意したこの曲、そんなに難しいの?」とのコルトレーンの複雑な思いを、感じます。



【エピソード、Rhino - Atlantic について】

 確か1990年に入ってからだったか、アトランティックの作品のCD化の際に、Atlanticのロゴと共にRhinoとのロゴが入るようになっていた。渋谷のジャズ・レコード店に集まる者達の間では、「リノ」と呼んでいたが、その正体は何だか分からなかった。

 「今日のコルトレーン」での掲載ががアトランティック時代に入り、CD箱「The Heavyweight Champion john coltrane」に向き合うようになり、再びRhinoの存在を思い出した。このCD箱には先のダブル・ロゴの他に、次のようなクレジットがある。

This Compilation (p) 1974 & 1995, (c) Atlantic Recording Corporation.

Manufactured & Marketed by Rhino Records Inc.,

(この後に住所。またPとCは括弧ではなく丸の中)

 つまりは、アトランティックが出版と著作権を持っているものを、Rhino が製造・販売しているとのことなのか。


 ウィキペディア日本語版にはRhinoについてのページがあり、そこには次のように書かれている。

 ライノ・エンタテインメント(Rhino Entertainment)は米国ワーナー・ミュージック・グループ配下のレコードレーベル。1950年代 - 1990年代のオムニバスアルバムや企画物、再発物を主とする。

 もともとラインナップとして1950年代 - 1970年代のアーティストの再発(リイッシュー)、ベスト盤をリマスタリングしたり、オムニバスや1940年代のワーナー映画のサウンドトラックのリリースが主であった。また、一時は『死霊の盆踊り』などのファンタスティックな映画作品のビデオ化なども行っていた。その流れで『美少女戦士セーラームーン』のアメリカ盤ヒット曲集のアルバム(内容はアメリカで作曲・録音されたもの)を発売したりもした。現在はワーナー所属アーティスト(シカゴ、エンヤ等)用のレーベルとしても活動している。



【ついでにフォト】

tp09021-038

2009年、みなとみらい


(2020年4月29日掲載)