So What (take 3) (Miles Davis) (9分21秒)
【この曲、この演奏】
「マイルス作の代表的モード曲」(資料09)のこの曲の初登場がこのセッションのようです。コルトレーンはマイルス・バンドでこの1959年、そして翌年春の欧州ツアーで何度もこの曲を演奏していますが、スタジオでの演奏は本セッションだけです。
またコルトレーン作の「Impressions」はこの「So What」から着想を得たものであり、コルトレーン・バンドでのライブで、何度か「Impressions」を「So What」と呼ぶシーンがあるようです。有名どころでは、1961年7月1日のニューポート・ジャズ祭でのアナウンスがあります。(資料07)
さて演奏ですが、ベースとピアノが空気を温め、そしてベースがメロディを登場させ、そこに3管が加わっていく、この始まりには静寂と緊張感の中で心が躍って行くものです。ジャズ界の名場面の一つと言える瞬間でしょう。
ソロはマイルス、コルトレーン、アダレイと続きます。コルトレーンの演奏を聴いていると、音楽に取り組む希望をコルトレーンは見つけたなと感じます。コルトレーンにとって大事な瞬間だった頃でしょう。
ホーン陣のリフにのってのエヴァンスの演奏を挟んで、再びベースがメロディを奏で、発売されている演奏はフェードアウトで終わっていきます。
最初のテーマから9分間に渡り独特の雰囲気に包まれています。歴史情報TV番組「その時歴史が動いた」のジャズ版があれば、この9分間はその筆頭候補になることでしょう。
【エピソード、本セッションについて】
資料09にあるこのセッションへのコメントを引用する。
モードの記念日として名高い「カインド・オブ・ブルー」を生んだ歴史に残る名セッションである。ビル・エヴァンスがライナー・ノーツに記しているように、全てのメンバーを1つの”結果”へ融合していくという難題の最も美しい解答と言っていいだろう。そして、そのもう一つの解答を求めていた当時のコルトレーンに、音の錬金術師マイルスの奇跡は計り知れない影響を与えたことだろう。
【ついでにフォト】
2013年 みなとみらい
(2022年7月12日掲載)