19590115-04

Three Little Words
(Harry Rudy / Bert Kalmar) 
(7分30秒)



【この曲、この演奏】

 「Four Letter Words」は使うのをはばかれる四文字言葉ですが、「Three Little Words」になると一転して、誰もが何回か決意を固めて使った言葉、「I Love You」となります。

 資料14 によればこの曲は、エリントン楽団も出演した1930年の映画「チェック・アンド・ダブル・チェック」で、ビング・グロスビーが歌ったものです。その後はレスター・ヤングやソニー・ロリンズが取り上げ、有名曲とは言えないのですが、ジャズファンの記憶の片隅に残っている曲です。

 この曲の演奏記録は、コルトレーンは本セッションのみ(資料06)、ミルトは1980年のライブでこの曲を取り上げています(資料08)。

 このような鼻歌系の楽しい曲では、ミルトのノリの良さがたっぷりと味わえ、またコルトレーンもその楽しさに乗っかっています。ただしイメージの膨らませ方には違いがあり、コルトレーンの高速と、あくまで楽しく聴かせる範囲のミルトの速度感には、少なからずズレがあります。ただしこの曲ではそれが、個性のぶつかり合いと感じられる範囲のものと言えます。



【エピソード、アーテガン兄弟のアトランティック】

 ネスヒとアーメット・アーテガンは、全駐米トルコ大使の息子である。二人ともジャズ愛好者であると自認していたが、ある日曜日の午後、トルコ大使館で異人種同士のジャム・セッションを開いて、お固いワシントンの外交界を驚かせたりした後、一九四八年にアトランティック・レコード会社を設立した。設立資金の一万ドルは、ある好意的な歯科医から借りたものだった。一九六七年、彼らはその会社を二千二百万ドルでワーナー・コミュニケーションに譲渡して、綿密に仕事の計画を立てて実施すれば、ジャズは充分ペイするものであることを実証した。彼らが最初に手がけたのはシンガーのルース・ブラウンだった。彼らがブルースに強い親近感を抱いていたからだ。だが、彼らの名前が一番よく知られたのは、プレスティッジの初期の何枚かのレコードと、ビートルズの不運なアップル・レーベルから発売された後期の数枚のレコードを例外として、モダン・ジャズ・カルテットと契約を結び、彼らがレコーディング作業をやめるまで契約を継続させたことである。(資料01から。この資料は1975年に発行されたもの)



【ついでにフォト】

tp05056-037

2005年、香港


(2020年3月10日掲載)