Bahia (Ary Barroso) (6分16秒)
【この曲、この演奏】
資料05ではこの曲について触れていますので、引用します。
アフリカ西海岸を出発する奴隷船は、貿易風と海流に乗って大西洋の対岸にある南北アメリカとカリブ諸国へ向かう。北米ニューオリンズと共に奴隷船着岸地の代表のひとつが、南米ブラジルのバイーヤ(現・サルバドール)であった。バイーヤもダカール同様、現在はユネスコ世界遺産のひとつとして知られている。
原曲はブラジルの作曲家アリ・バローゾが1938年に作詞作曲したサンバである。ディズニーのアニメーション「三人の騎士たち」(1944年)の挿入歌としても親しまれている。
コルトレーンのこの曲の演奏記録は、本セッションだけです。
原曲はサンバとのことですが、ここではラテン調にアレンジされております。そのことはコルトレーンのサックスの、より一層アグレッシブな追及に寄与しています。自分が生まれ育った地とは全く異なる土地だけど、自分のルーツでもある土地、そんなことの思いが感じられる演奏です。
【エピソード、A.ブルームのインタヴュー、1958/6/15、その18】
(JC=ジョン・コルトレーン、AB=オーガスト・ブルーム)(資料04)
AB バド・パウエルとはやったことがないんだね。
JC 共演はしたことがあるが、バンドを組んだことはない。彼とは確か、一度だけ、ギグで共演したはずだ。四九年頃、マイルスはニューヨーク、アップタウンの、ブロードウェイをずっと北に行ったところにあるオーデュポン(訳注=ハーレムにあるオーデュポン・ボールルームのこと)で、例のダンス音楽の仕事をやっていた。で、そうしたギグの一つに、ソニー・ロリンズにバド、アート・ブレイキー、それになんとかってベース奏者と私が参加したことがあったんだ。で、ダンス音楽をやった。バドと組んだのはこれっきりだ。いい演奏だったよ(監修注=ソニー・ロリンズの記憶では、ドラムはケニー・クラーク)。
(マハール注=資料06ではコルトレーンとバドの共演は、1952年で月日は不明、場所はこのインタヴューにある通りのオーデュポン・ボールルーム、メンバーはマイルス、ロリンズ、バド、ブレイキー、そして多分パーシー・ヒースとなっている。また演奏曲は不明とのこと)
AB すごいな!
JC ソニー・ロリンズ。最近の彼は聴いてみた?
AB 最後に聴いたのは確か、九月だ。去年の九月。彼のライブ・アルバムを聴いた。「ヴィレッジ・ヴァンガードの夜」を。
JC ああ。
AB エルヴィン・ジョーンズと演ってたな。ベース奏者の名は忘れた。ドナルド・ベイリー(ドラマー)もプレイしていたと思う。私が観たコンサートでは、彼は確か、ウェンデル・マーシャル(ベーシスト)と演っていたはずだ。
JC ああ、ソニーは」間違いなく、巨匠と呼ばれるミュージシャンの一人だ。(聞き取れず)彼は“巨匠”の座に登りつめた。
AB ビル・パーキンスとか、リッチー・カミューカのようなテナー奏者はどう思う? あまり好きな言葉ではないけど、いわゆる“ウェストコースト組”のミュージシャンたちは?
JC 意見を言えるほどじっくり聴いたことはないな。だから何とも言えないが、リッチーのことはよく知っている。彼も私も、フィラデルフィアで芽が出たミュージシャンだから。そういうわけで、一緒にプレイする機会はいつでもあった。彼が(スタン)ケントンと一緒にやるようになってからは、一度くらいは聴いたかもしれないが、彼はあまり即興演奏をしないから、バンドでいくつかソロをとるだけで、彼のそういったスタイルは好きだけどね。
AB なるほど
【ついでにフォト】
2010年、ペナン、タイプーサム
(2020年3月4日掲載)