19580912-01

Manhattan
(Richard Rodgers - Lorenz Hart)
(10分32秒)



【この曲、この演奏】

 資料14によればこの曲は、「ミュージカル『ザ・ガーリック・ゲイエテイーズ』のために書かれた曲で、地下鉄、ステイントン島などニューヨークの素晴らしさを讃えるご当地ソング」だそうです。コルトレーンのこの曲の演奏記録は、本セッションだけです。

 ヘンドリックスの語りとパーシップのドラムスがリズミカルに1分ほどこのアルバムの世界を作った後に、オーケストラでの演奏に移ります。大都市ニューヨークのいろんな光景を描いた演奏で、各楽器の使い方が秀逸なものです。

 何人かにソロ・スペースを用意していますが、エヴァンスとコルトレーンのソロは、その中でも長尺のものとなっています。まだまだこの時点では著名人とは言えないこの二人なのですが、ジョージ・ラッセルには才を見抜く目があったのでしょう。

 コルトレーンの2分近くのソロには、このセッションの意図を把握した上で自分らしさをだした演奏で、興味深い演奏と言えます。



【エピソード、本セッション】

 当代きってのアメリカを代表する音楽理論家にして作・編曲家、そしてピアニストであるジョージ・ラッセルがメガロポリタン = ニューヨーク・シティを題材に書き下ろした意欲作「ニューヨーク・ニューヨーク」のセッション。(資料09)

 この作品のための豪華なセッションはこの日の他に、11月24日、そして翌年の3月25日の三回にわたっておこなれ、5曲がアルバム「ニューヨーク・ニューヨーク」に収録された。コルトレーンが参加したのは9月12日だけであり、その日には1曲だけが収録された。

 コルトレーンがこのセッションに参加した経緯は定かではない。

 資料07によれば、ほとんどの共演メンバーがコルトレーンにとって、このセッションだけの共演となる。この時期にマイルス・バンドで活動を共にしているエヴァンスを除けば、コルトレーンはフランク・リハクだけと共演している。なお、アート・ファーマー、ボブ・ブルックマイヤー、チャーリー・パーシップ、ジョン・ヘンドリックス、そしてリーダーのジョージ・ラッセルとコルトレーンは本セッション以外での関わりがありそうだが、明確な共演記録としては本セッションだけとのことだ。(資料07)



【ついでにフォト】

tp13055-128

2013年 みなとみらい 


(2022年6月15日掲載)