Manhattan
(Richard Rodgers - Lorenz Hart)
(10分32秒)
【この曲、この演奏】
資料14によればこの曲は、「ミュージカル『ザ・ガーリック・ゲイエテイーズ』のために書かれた曲で、地下鉄、ステイントン島などニューヨークの素晴らしさを讃えるご当地ソング」だそうです。コルトレーンのこの曲の演奏記録は、本セッションだけです。
ヘンドリックスの語りとパーシップのドラムスがリズミカルに1分ほどこのアルバムの世界を作った後に、オーケストラでの演奏に移ります。大都市ニューヨークのいろんな光景を描いた演奏で、各楽器の使い方が秀逸なものです。
何人かにソロ・スペースを用意していますが、エヴァンスとコルトレーンのソロは、その中でも長尺のものとなっています。まだまだこの時点では著名人とは言えないこの二人なのですが、ジョージ・ラッセルには才を見抜く目があったのでしょう。
コルトレーンの2分近くのソロには、このセッションの意図を把握した上で自分らしさをだした演奏で、興味深い演奏と言えます。
【エピソード、本セッション】
当代きってのアメリカを代表する音楽理論家にして作・編曲家、そしてピアニストであるジョージ・ラッセルがメガロポリタン = ニューヨーク・シティを題材に書き下ろした意欲作「ニューヨーク・ニューヨーク」のセッション。(資料09)
この作品のための豪華なセッションはこの日の他に、11月24日、そして翌年の3月25日の三回にわたっておこなれ、5曲がアルバム「ニューヨーク・ニューヨーク」に収録された。コルトレーンが参加したのは9月12日だけであり、その日には1曲だけが収録された。
コルトレーンがこのセッションに参加した経緯は定かではない。
資料07によれば、ほとんどの共演メンバーがコルトレーンにとって、このセッションだけの共演となる。この時期にマイルス・バンドで活動を共にしているエヴァンスを除けば、コルトレーンはフランク・リハクだけと共演している。なお、アート・ファーマー、ボブ・ブルックマイヤー、チャーリー・パーシップ、ジョン・ヘンドリックス、そしてリーダーのジョージ・ラッセルとコルトレーンは本セッション以外での関わりがありそうだが、明確な共演記録としては本セッションだけとのことだ。(資料07)
【ついでにフォト】
2013年 みなとみらい
(2022年6月15日掲載)