19580711-07

My Ideal (Richard Whiting)  (7分34秒)



【この曲、この演奏】

 映画「プレイボーイ・オブ・パリ」のために作られたラブ・ソングで、主演のモーリス・シュバリエが歌っていました。タイトルは、理想の恋人を思い描いていることを示しています。(資料14)

 コルトレーンのこの曲の演奏記録は、本セッションだけです。

 暖かい曲をコルトレーンは肩から力を抜いて、ほんのりと暖房が効いた部屋で寛いでいる気分の演奏を行なっています。そうするとハーデンも安心したのか、ゆったりとソファーで心穏やかに過ごしているような演奏を繰り出しています。そしてガーランドのブロック・コードが流麗に決まり、演奏が終わっていきます。



【エピソード、A.ブルームのインタヴュー、1958/6/15、その14】

(JC=ジョン・コルトレーン、AB=オーガスト・ブルーム)(資料04)

AB モンクがあれをやり出したのは、実際にギグの仕事が始まってから? それとも、前にもやってたのかい? ピアノから立ち上がって、君をバンドスタンドに置いてけぼりにする、というやつは?

JC 仕事が始まってからだね。

AB 仕事が始まってから? 彼が初めてあれをやったときは、どう思った?

JC 最初のときは、どこだ、どこだって彼の姿を探したよ(笑)。けど、何度かやられるうちに慣れた。で、彼が戻ってくるまで持ちこたえようと頑張った。

AB なぜモンクはあんなことをしたんだろう?

JC さあ。本人は、私たちの演奏を聴きたいと言っていた。バンドの演奏を聴きたいとね(ブルームが笑う)。ああすれば、彼は観客の一人になれる。そうやってバンドの演奏を聴くことができるわけだ。で、またバンドスタンドに戻ってくる。彼がああやって何かを得ていたのは確かだね。

AB 私は大いに刺激を受けたよ。バンドスタンドの脇で、ああやってすり足ダンスをやるなんてね。

JC ああ、私もこの目で見たかった。演奏中は見れないから。

AB (笑)サックスを吹くのを止めて、彼の後ろにそっと立って・・・(聞き取れず)なんて思ったことはない?(笑)

JC そうだな、一度やっておけばよかったな。あのダンスを見ておきたかった。たまに薄目を開けてのぞいてみたけど、彼はとても楽しそうだった。恍惚としていたよ。

AB なら、君のプレイを心から楽しんでたんだろう。と言うのも・・・。

JC ああ、彼もそう言っていた



【ついでにフォト】

tp10021-011

2010年、ペナン


(2020年2月28日掲載)