Love for Sale (Cole Porter) (11分46秒)
【この曲、この演奏】
「1930年のミュージカル『ザ・ニューヨーカーズ』の主題曲として大ヒットした。1950年の映画『情熱の狂想曲』でも使用されリバイバル・ヒット。『ナイト・アンド・デイ』や『エニシング・ゴーズ』と並ぶコール・ポーターの代表的名曲のひとつだ」と、資料09でこの曲を解説しています。多くの歌手や奏者に取り上げられているこの曲ですが、マイルスのこの演奏や、アダレイの「サムシング・エルス」での演奏が有名なところでしょう。
この名曲のコルトレーンの演奏記録は、本セッションだけです。(資料07)
エヴァンスの弾むピアノで始まり、マイルスのミュート・トランペットが、陽気さの中に憂いが隠れている女性の表情が浮かぶようなテーマを披露します。そのままマイルスはソロに突入するのですが、ここだけで十分満足であります。
ソロは、アダレイ、コルトレーン、エヴァンスと続きます。ここでもコルトレーン似のフレージングで迫ってくるアダレイデスが、陽気さのアダレイ、深みのコルトレーンと言ったところでしょう。
再び至極のマイルスのトランペットが登場し、テーマを奏でて、この演奏が終わっていきます。
この演奏は1959年発売のアルバム「ジャズ・トラック」には収録されずに、後年になって世に出ました。
【エピソード、アダレイが居眠り?】
四曲が演奏されたこのセッションで、アダレイだけが「Stella by Starlight」に参加していない。
2000年以降に発売されたと思うCD「Miles Davis / Legendary Session 1958/1961」に、このことについての記述があると、資料07にある。それによれば、この曲の最初のマイルスの演奏の場面で、アダレイは居眠りを始めたとのことだ。
信じられない話であるし、資料07でも強い疑念を示している。
【ついでにフォト】
2010年、みなとみらい
(2022年5月14日掲載)