I See Your Face Before Me
(Dietz - Schwartz) (9分58秒)
【この曲、この演奏】
シュワルル - デイーツの名コンビによるミュージカル「ビトゥイーン・ザ・デビル」中のナンバーで、1938年にガイ・ロンバード、グレン・グレイがヒットさせました。(資料14)
ジャズ界ではあまり目立たない曲ですが、モブレイの「ディッピン」でのこの曲の演奏でご存知の方も多い曲です。
コルトレーンのこの曲の演奏記録は、本セッションだけです。
バラッド演奏させたらこのワン・ホーン・カルテットが最高、と呼ばれるカルテットはそれぞれのジャズ好きの方々の中にあることでしょう。そんな方々の中で、このコルトレーン - ガーランドのカルテットのバラッド演奏を、「最高」とする方々も多いことだと思います。
そんな一人である私にとっては、この曲での演奏は至極のものです。飾りを一切取り払い、歌の真を見つめているコルトレーン、ブロック・コードで美しさとハーモニーを提供するガーランド、そこにチェンバースとテイラーの強力サポートが加わり、精細の輝きを味わえる演奏になっています。
【エピソード、ガーランドの“メモ帳”】
資料11には、選曲について次の記述がある。
コルトレーンの歌もの好きは、いつも彼が、ジャズによく合うあまり外では取り上げられていない優れたアメリカのポピュラー・ソングを見付けてくることからよくわかる。
ただし、明らかにこれには、同僚のガーランドの功績もある。キープニュースは、ガーランドの“メモ帳”が何百というスタンダード曲のタイトルでぎっしり埋まっていたというドナルド・バードの証言を伝えており、しかも「彼はそれらすべてのコード進行を知っていた」という。
ガーランドの発言権あるセッションに於いては、この“メモ帳”が、曲埋めの際の頼みとされたらしい。
【ついでにフォト】
2010年、ペナン、タイプーサム
(2020年1月31日掲載)